中部発 三重・尾鷲 前学部長、自ら診察 医師不足の痛み救え

2013.07.30

中部発 三重・尾鷲 前学部長、自ら診察 医師不足の痛み救え
2013.07.26 中日新聞


 三重大医学部の前学部長登勉(のぼりつとむ)さん(63)=津市渋見町=が、三重県南部の中核医療施設の一つ、尾鷲市の尾鷲総合病院で非常勤当直医を務めている。学部長時代から県内の地域医療の立て直しに尽力してきた登さんが自ら赴き、医師不足に悩む医療現場をサポートしている。

 登さんは三重県立大医学部(現三重大医学部)を卒業後、小児科医として同大付属病院に勤務。二〇〇九年十二月から今年三月まで医学部長を務めた。
現在は特任教授として、がんなどの原因となる遺伝子の分析研究を進めている。

 学部長時代、医師不足が深刻な医療機関の支援に取り組んだ。
地方自治体から医学部に寄付金を出してもらって地域医療に取り組む寄付講座を開設。
現在、津市など県内三市の公立病院に大学の医師を派遣している。

 「医師の人材派遣業との批判もあったが、病院を立て直すには医師しかないという信念があった」と振り返る。

 尾鷲総合病院の常勤小児科医は一人。
常勤医の休日を補完するため、非常勤での当直医を同病院が打診し、県南部の小児医療に危機感を抱いていた登さんから快諾を得た。

 勤務は毎月第一金曜の夕方から翌週月曜朝までで、小児科外来を担当。
「大学の仕事が落ち着いたら地方の現場に立たねばと感じていた。診察だけでなく、病院内の設備や職場環境の整備にも協力したい」と意気込んでいる。

 取材後記

 この10年間で常勤医が24人から17人に減り、昨年も小児科医の不在時期が3カ月間続いた尾鷲総合病院。他の公立病院同様に、医師確保は病院の最大の懸案だ。

 非常勤当直医とはいえ、大学の元医学部長の登さんが現場に立つことで、1人しかいない小児科医の負担は軽減する。

「医者は医療で貢献するのが本来の姿。地方の病院は医学部全体で支えたい」。
力強い言葉を、一住民として頼もしく感じた。(宮崎正嗣)