地域唯一、「家庭医」の草分け*美流渡診療所 存続の危機*医師ら市に対応策求める*過疎化で患者減

2013.07.29

地域唯一、「家庭医」の草分け*美流渡診療所 存続の危機*医師ら市に対応策求める*過疎化で患者減
2013.07.27 北海道新聞

 【岩見沢】市内の美流渡地区で唯一の診療所が存続の岐路に立っている。
地域のかかりつけ医として長年診療を担ってきたが、過疎化による患者数減で経営難に陥っているためだ。
「継続を望む住民の思いに応えたい」と医師らは市に対応策を求めるとともに、住民と持続可能な地域医療のあり方を模索し始めた。(坂本有香)

 美流渡診療所は所長の久保木努医師(49)と武田伸二医師(57)、堀江淳司医師(49)の3人で、月~土曜日の外来や訪問診療、在宅のみとりにも対応。美流渡地区は救急車の到着までに20分以上かかるため、地元の消防車に同乗し、現場に駆け付けることもある。

 同診療所は、あらゆる年齢の幅広い病気の初期治療に対応する地域のかかりつけ医「家庭医」の草分けとして知られる。

旧栗沢町の招へいに応じて1984年に着任した前所長の楢戸健次郎医師が基盤を築いた。
楢戸医師の活動に共感した医師が次々と加わり、91年に医療法人を設立。
美流渡のほか隣接する万字の診療所、市中心部寄りの住宅地に開設した診療所を運営する。

 だが、楢戸医師の着任当時、約2千人だった美流渡地区の人口は約540人に減少、高齢化率は50%を超える。

多い時は1日100人が訪れた外来も今は20人を切り、数年前から赤字を計上。
住宅地の診療所とのやりくりで維持してきたが、昨年の美流渡と万字の両診療所の赤字は合計で約1千万円となり、法人全体の経営に影響を及ぼしている。

 このため、24日には両地区の町内会長12人が医師らと今後のあり方を協議。医師からは厳しい現状と来年度以降の外来の診療時間見直し案などが示され、住民も「地域一丸で応援しよう」と声を上げ、診療所維持に協力することを確認した。

 現在、万字診療所は市の委託で運営しているが、患者数が少ないことから医師らは美流渡と万字の診療所のあり方を再考するよう市に求めている。

ただ、診療所から約4キロ市街地寄りの朝日地区にも民間診療所があることや、限られた財源で行政がどこまで過疎地医療を支えるかなど、課題は多い。
久保木医師は「この地でスタートした責任がある。住み慣れた所で暮らしたいという住民の願いに少しでも長く応えていければ」と話す。