若き介護職員と夕食の機会を得た

2013.07.24

若き介護職員と夕食の機会を得た
長尾和宏 (ながお・かずひろ)朝日新聞2013年7月23日

先日、宅老所などで働いている若き介護職員らと
夕食をする機会がありました。
1人の女性と8人の男性の会話を聞いていました。

医療の世界と同様に、介護の世界にも上下関係があり、想像以上に厳しいことを知りました。
先輩が後輩をかわいがるのも同じでした。

男性と女性との比率を聞くと、そこでは半々とのこと。
医者は男性優位で、看護師は女性優位なので、その中間かと思いました。

介護の現場にいる方たちは、とても優しい雰囲気。
医療の世界とかなり違う空気を感じました。
父性と母性の違いのような感じ。

若き介護職は、結構、おとなしい人が多い。
内に秘めた想いを外に出さない人が多い印象でした。
もっと発信してほしい!と檄を飛ばしてきました。

これから十数年間、超高齢・多死社会を迎えます。
そこで必要とされるのは、大部分が介護でしょう。
医療ができることはそう多くないと思います。

すなわち、これからは介護職の時代なのです。

そして医者の悪口を言うだけでなく、もっと建設的な議論をするようにお願いしてきました。
うわべだけでなく、もっと心を通わせて連携してほしい。

「医療と介護の連携」という演題でこれまで何度も私は講演をしてきました。
しかし、してもしても正直、虚しくなるばかりです。

お互いにお互いのことをよく知らずに、先入観だけでものを言っているような気がします。
実際に見るとガラッとお互いの評価が変わります。

そうした文化交流が、今後ますます大切になります。
医療は医療だけでいい、なんて言っているお医者は
これから地域の在宅スタッフに相手にされなくなります。

すなわち医療と介護が、上手に「まじくる」ことが大切。
その「まじくる」ための第一歩は、一緒に飯を食う事、らしい。

医療職と介護職が一緒に飯を食う事は普通はありません。
お医者と看護師さんが飯を食う事は、充分あり得ますが。
いろんな意味で大変貴重な夕食会であり、幸せに思いました。


長尾和宏 (ながお・かずひろ)
1958年、香川県生まれ。
1984年に東京医科大学卒業、大阪大学第二内科入局。阪神大震災をきっかけに、兵庫県尼崎市で長尾クリニックを開業、院長をしています。
最初は商店街にある10坪程度の小さな診療所でした。
現在は、私を含め計7人の医師が365日24時間態勢で外来診療と在宅医療に励んでいます。
趣味はゴルフと音楽。著書に「町医者力」「パンドラの箱を開けよう」(いずれも、エピック)「『平穏死』10の条件」(ブックマン社)「胃ろうという選択、しない選択」(セブン&アイ出版)などがあります。ツイッターでもつぶやいて