感染予防に関する近年の考え方とエビデンス (抜粋)

2013.07.03

感染予防に関する近年の考え方とエビデンス
(抜粋)

坂本史衣SAKAMOTO Fumie(聖路加国際病院)他
2010/12
中山書店

「感染制御から感染予防へ」

多剤耐性アシネトバクター,インフルエンザの集団発生など,医療関連感染に関するニュースは後をたたない.

マスコミのセンセーショナルな報道のしかたも手伝って,これらの「事件」が起きた特定の病院を非難する声も聞こえてくる.

しかし,
高齢者や重症患者など,もともと感染リスクが高い患者が多く利用する医療機関において,医療関連感染を根絶することは,現実的には不可能である.

一方で,近年,アメリカから医療関連感染に対するゼロトレランス(不寛容)という考え方が発信された.

これは「医療関連感染は起きてもしかたがないもの」と受身的に捉えることをやめ,(現実には 0〈ゼロ〉にできないものの)1 例の発生も許すことなく,0に近づける積極的な姿勢への転換を表す言葉として使われている.

これを受けて,従来の感染制御または管(infection control)という言葉も,感染予防(infection prevention)に置き換わった.
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接触予防策においては,微生物の拡散を予防するために,ガウンまたはエプロンを装着する

ガウンやエプロンには,撥水効果が高く,非透過性の素材を選択する

接触予防策に使用するガウンやエプロンは,ディスポーザブル製品を用い,1 回ごとに使い捨てとする

接触予防策実施時には,患者との接触の度合いに応じて,ガウンかエプロンかを選択する。

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ノロウイルスは,乾燥した室温下の環境表面に 21~28 日間生存する

汚染された環境表面に触れた手が感染源となりうる
環境表面の清掃を行い,高頻度接触部位は次亜塩素酸ナトリウムで消毒する

環境表面を無菌化することは不可能なため,標準予防策や接触予防策を遵守することが
最も重要である


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5 歳未満の子ども,65 歳以上の高齢者,基礎疾患をもつ人などのハイリスク者がインフルエンザに感染すると,関連した入院加療や死亡率が高まるが,予防接種はそのリスクを低下させる

ハイリスク者への伝播を予防する観点から,医療従事者を含めた健康成人への予防接種は有効である

妊婦や授産婦に対するインフルエンザの予防接種は,不活化ワクチンの安全性データの国際評価がなされており,胎児や新生児への害を示す根拠がないため実施可能である