開業医と総合病院が連携を=鹿児島の課題、勇退の鹿島・前市医師会長に聞く

2013.06.28

[くらし健やか]高度医療の提供不十分/開業医と総合病院が連携を=鹿児島の課題、勇退の鹿島・前市医師会長に聞く
2013.06.25南日本新聞社

 勤務医初の鹿児島市医師会長として3期、5年3カ月間務めた鹿島友義さん(75)が、6月24日付で勇退した。
年々存在感が薄まりつつある同市医師会病院http://www.city.kagoshima.med.or.jp/kasiihp/gaiyou.html、十分な高度医療の提供ができない地域医療の現状などについて、課題を聞いた。(税所陸郎)

 ―市医師会病院とは。

 「会員である開業医が、高度医療の必要な患者を安心して預けられる紹介型の病院として、1984年に設立された。
地域医療への貢献を目指すとともに、会員が医師会病院に赴いて手術をするなど、研修・教育機関としても一定の役割を果たしてきた」

 ―入院患者は10年前の7割、病床利用率も3割落ち込んでいる。医師数は15年前から14人減り、9月からは小児科と産科を廃止する。

 「理由はいくつかある。
まず国の医療費削減方針があり、市医師会病院のような中小規模の病院は経営がどんどん苦しくなった。
周辺の総合病院が高度医療に取り組むようになって、開業医からの紹介が減った。
さらに医師不足が拍車をかけている状況だ」

 ―病院の構造的要因も大きい。

 「まず、市医師会病院が紹介患者のみを診療対象にしてきた点が挙げられる。
そのために、診療内容を市民に広報するなど、患者獲得のために積極的な営業活動ができなかった。
また、会員と競合するような診療科、例えば眼科や整形外科、脳神経外科などを設置できなかった。
現場に経営権がなかったのも要因の一つと言える」

 ―打開策は。

 「現場に責任を任せ、不採算部門から撤退するなどで経営改善を目指すのが一つの方法。
しかし競争相手が多い中で、250床クラスの病院http://www.city.kagoshima.med.or.jp/kasiihp/gaiyou.htmlが高度医療機関として生き残っていくのはかなり困難。であれば、私見ではあるが、他の病院と合併するのも選択肢の一つと思う」

 ―鹿児島の医療はどうあるべきか。

 「小規模の病院が乱立し、十分な高度医療を提供できていない。住民が地域で先端医療を受けられるよう、総合病院の大型化や、専門領域に特化した病院がさらにあってよい」

 「その一方で、まずはかかりつけ医が患者を診ることが大切で、専門的な医師の集まりである総合病院につなげていく連携関係が望ましい。
軽症から重症まで診て、福祉までやるような囲い込み型の医療は、国が目指す医療機能分類の視点からも外れていると考える」

 ―5年間を振り返って。

 「支えてくださった皆さんに心から感謝している。医師会の最も大切な役割は、市民の健康を守るため会員が安心して診療できるような環境を整えることと思う。
今後も、住民にとってなくてはならない団体として引き続き頑張ってほしい」

 かしま・ともよし 鹿児島市出身。鹿児島大医学部卒、聖路加国際病院(東京)でインターン。鹿大病院第1内科入局。米ミシガン大内科に留学。専門は循環器・内科。霧島病院長、九州循環器病センター院長など歴任し南風病院診療部顧問、鹿児島医療センター名誉院長。2008年から鹿児島市医師会長を務めた。