感染症制御のために殺菌銅を使用することの医療経済学的考察

2013.06.28

感染症制御のために殺菌銅を使用することの医療経済学的考察
2013年6月24日 11:30pmhttp://medicalxpress.com/news/2013-06-health-economics-antimicrobial-copper-infection.html

院内感染を防ぐための銅の役割についての斬新な医療経済学的アセスメントが、スイスのジュネーブで開かれたWHO(世界保健機構)の「感染予防ならびに制御に関する国際会議(ICPIC)」において発表された。

発表では殺菌銅による資本投資が短期間で回収できる
ことが示された。

医療経済学的な評価は、通常薬品価格や手術費用などに対して行なわれるが、今回、英国ヨーク大学の一部門であるヨーク医療経済学コンソーシアム(YHEC)は、ICU内で殺菌銅の環境表面を用いるという、建築・工学的アプローチによる感染制御の解決策について調査を行なった。


院内感染症を起こす病原体は、頻繁に人が触れる表面において、数日、場合によっては数ヶ月も生存し、その表面が感染源となることがある。

殺菌効果の確認できる摩耗しない銅の表面の設置という工学的方策は、感染を阻止する追加手段である。

銅ならびに銅合金の環境表面(これを『殺菌銅』と呼ぶ)は継続的に汚染微生物数を著しく減少させ、英国、米国、チリなどの臨床試験でも、その数を90%以上減らせることが証明されている。

さらに最近になって発表された米国国防総省の実験では、三つの病院のICUにおける患者周辺の6箇所を殺菌銅に置き換えたところ、院内感染率が58%減少した。

YHECは、銅を感染制御対策として用いることの費用対効果を、患者への効果とその他の実証可能な効果という面から検証した。検証では、表計算シートによって現状で最良とされる数理展開を行ない、公表された情報をそこに入力して、銅を使った場合の投資回収期間を調べた。検証ではさらに、入院日数と質調整生存年(QALY)についても計算した。

この計算モデルは単純なもので、透明性がありすべてリファレンスによって確認でき、特定の地域の特性をデータとして入力することもできる。

英国のデータを入力すると、計算モデルは、20床のICUで頻繁に人が触れる重要な場所、6箇所に殺菌銅を使った場合、その費用は二ヶ月以内に回収できると予測した。これは感染率が低くなり、その結果、患者の入院日数が少なくなるからである。

論文の共著者のひとりであるYHECのディレクター、マシュー・テイラー博士によれば、「最初の二ヶ月以降、常にコスト削減が続いていき、これによって浮いた費用を、隔離ベッドやよりよいスタッフの教育などに使うことができる」。

通常の材質の場所に、建設当初からにせよ、改修としてあとから取り付けるにせよ、銅を使うことで、院内感染関連費を5年間で約200万ポンド(298百万)節約できる。

銅を使えば、通常の材質のものより30,600(455万)ポンド高くなるが、5年の期間で見た場合、感染症予防にかかる費用としては一例あたり 94.10ポンド(14千円)にしかならない。


テイラー博士は結論として、次のように述べている。「今回の検証は、病院での予算をどう使うかといった、一般的な経済的評価ではない。

資本として投入する予算を必要とする工学的解決策を提示したものであり、こういうことの決定責任は一般的にはそれぞれの施設管理者や経営陣にある。

ただ、感染予防やケアにかかる費用、臨床的成果のインパクトが非常に大きいので、意思決定機関にある上層部の人たちにこの問題への理解と協力を強く求めたい」

出典:ヨーク大学