東朋香芝病院、10月から保険医療機関指定取り消し 不正請求994万円

2013.06.24

東朋香芝病院、10月から保険医療機関指定取り消し 不正請求994万円 /奈良県
2013.06.22 朝日新聞
 
看護師の夜勤時間を偽り診療報酬を不正に請求していたなどとして、厚生労働省近畿厚生局は21日、香芝市の東朋香芝病院(288床)の保険医療機関の指定を10月1日付で取り消すと発表した。

保険診療ができなくなるため、中和地域の医療への影響は避けられない。
県はこの日、対策を検討する委員会を発足。病院側は処分の取り消しを求め、行政訴訟を起こす構えだ。


 厚生局奈良事務所によると、医療法人気象会(大阪市都島区、石田勲理事長)が運営するこの病院は、内科や外科など10の診療科がある。

病院は2007~09年、看護職員の平均夜勤時間数が「月72時間」の基準を大幅に超えていたのに基準内だったように偽って、高い入院基本料を不正に請求した。

さらに、リハビリや点滴注射などについて、実際はしていなかった医師の診察をしていたように偽り、不正請求を繰り返した。

 厚生局が約2年間のレセプト233件を抽出して調べたところ、994万円の不正・不当請求が判明。今後の調査で額はさらにふくらむと見られる。

厚生局は返還を求めるとともに、保険医療機関の指定取り消しという最も重い行政処分を決めた。


 ●病床不足対策へ 県が検討委

 発表を受け、荒井正吾知事は「県ではこれまで、地域の医療提供態勢の整備・確立に全力を傾けてきた。指定取り消し処分は極めて遺憾だ」「患者さんの健康維持・安全確保を第一に、必要な措置をとるよう病院を指導する」との談話を出した。

 県はこの日、中和地域で予想される病床不足への対応を検討する委員会(委員長=高城亮・県医療政策部長)を設立。
香芝市や県立三室病院などの担当者を集め、初会合を開いた。

 その結果、救急をはじめとする医療態勢に空白が生まれないよう、この地域で病院を運営する医療法人を公募する
▽募集要項を6月に公表する
▽22、23日に患者や地域住民からの問い合わせ窓口を県医療政策部に置く――などを決めた。受け付けは電話(0742・27・9939)のみで、午前9時~午後4時。


 ●実費負担は無理 患者ら困惑

 患者やその家族からは不安の声が聞かれた。

 血圧治療のため10年以上通院する香芝市の主婦(64)は「最近は週2回ほど通っている。
ここはバスも通っていて、駅も近いから便利。
でも、保険が使えず、全額が実費負担になればもう通院できない。他の病院と言われても、地元にこんな大きな病院はない」と戸惑う。

 脳梗塞(こうそく)で入院中の父を見舞いに来た大和高田市の女性(35)は「退院が決まり、今後通院する予定。ずっと同じ先生に診てもらっていたので、他の病院に変えるのも不安」と困惑していた。

 病院側は、代理人弁護士を通じてコメントを発表した。

 看護職員の夜勤時間が基準内であるように偽ったことについて、「看護師不足の現状の中、結果として基準を守れない状態になってしまった」「実態通りに請求すれば大幅な減収となり、人件費をまかなうことができなくなる状況だった」などと説明。
処分については「地域医療、救急医療への病院の貢献を無視するもので、法律上も理由がない」として、国に対し処分取り消しを求める行政訴訟を今月中に起こすという。