沢内病院 苦慮 来夏新築 医師確保ままならず

2013.06.14

沢内病院 苦慮 来夏新築 医師確保ままならず 地域医療の全国モデル 町「最低4人」、現行は2人
2013.06.13 
岩手日報社


 1962年、全国初の乳幼児死亡率ゼロを成し遂げ、地域医療の手本となった旧沢内村。
その中核を担った西和賀町沢内の国保沢内病院(40床)は来夏、新築移転する。
町民は一層の地域医療充実を期待するが、医師招聘(しょうへい)のめどが立っておらず、超高齢化が進む町の医療拠点として役割を果たすのは難しい現状だ。町は今後招聘に全力を挙げるが、医師を引きつける魅力は乏しいとの指摘もあり、前途は多難だ。

 沢内病院は前院長が退職した2010年末から2年半以上院長がいない。
常勤医は2人だけ。石川清副院長は日々の診療のほか月5、6回の宿直をこなす。月15回に上ったこともあり、休日も「何かあれば駆けつけるのが当然」と激務が続く。

 町は同町沢内大野地区に来夏完成する新病院(40床)が機能するには最低4人の医師が必要と見込む。

石川副院長は「沢内病院の医師になるには昼夜を問わず働き続ける覚悟が必要だ。新たな医師を探すのは難しいだろう」と悲観的に見る。

 新病院は鉄筋コンクリート造り2階建て、延べ床面積4429平方メートル。

一般病床40床と手術室や透析室などを備え、内科、整形外科など7診療科を掲げる。

24時間体制で救急患者も受け入れる予定だが、医師2人体制では到底運営できない。

 高齢患者は一人が多くの病気を抱えていることが多く石川副院長は「内臓ごとの専門だけでなく幅広い症例に対処できる医師が必要だ」とも指摘する。

 同病院の小林雅彦事務長は「今の状態では非常にまずい。開院に向け、何としても医師を集めなければ」と危機感をにじませる。

 町は全国自治体病院協議会に医師あっせんを依頼するなどしており今後、県医療局などにも要請する方針だが、いずれも他自治体が当然行う範囲の動きにとどまっている。

 細井洋行町長は「地域に病院は必要で、まずは何としても医師を確保する。具体的な体制は新院長が決まってから一緒に考えていきたい」との姿勢だ。

 

病院の「理念」再確認すべき

 西和賀町で自由診療の診療所「緑陰」を経営する増田進・元国保沢内病院長の話 かつての沢内病院は「村民が健康で長生きできること」を一番に考えていたが、今はどうか。

経営にばかり目を向け、町民の方を向いていないのではないか。
それでは医者はやりがいを持って働けない。病院の理念がはっきりしなければ医師は来ない。
そもそも今求められているのは高度医療ではなく介護だ。行政や病院関係者は真剣に考えてほしい。

 

 国保沢内病院とは 1954年国保直営病院として開院。76年旧村営に移管。旧湯田町、旧沢内村の合併に伴い2005年町直営。一般病床のみ40床。赤字経営が続き、一般会計からの繰り入れは09年度約1億7千万円、10年度約1億9千万円、11年度約2億1千万円に上る。12年度の病床利用率は41・3%。

岩手日報社