練馬光が丘病院、開業1年余 収支、楽観できず /東京都

2013.06.03

練馬光が丘病院、開業1年余 収支、楽観できず /東京都
2013.06.01 朝日新聞 


 練馬区の「練馬光が丘病院」が開業して1年2カ月が過ぎた。昨年3月末に撤退した日大病院の後を継いで発足。スタッフや病床を増やして患者の受け入れ態勢を整える一方、医師は地元とのパイプ作りに懸命だ。


 平日の夕方。西武池袋線江古田駅近くの浩生会スズキ病院に1台のワゴン車が滑り込んだ。降りてきたのは、スーツを着た練馬光が丘病院の男性医師3人。手土産を持参した事務職員を伴って鈴木浩之院長(69)を訪ねた。

 「いろんな需要に応えられるのではないかと思い、ご挨拶(あいさつ)にきました」。外科部長の吉田卓義さん(48)が切り出した。とはいえ、単なる挨拶ではない。どんな治療をどこまで対応できるのかを伝え、患者の紹介や搬送をお願いする狙いがある。そのために2人の医師を連れてきた。

 スズキ病院は開業約70年。地元で知られた小規模病院だ。鈴木院長は「どこも入院患者でいっぱいだ。まず(救急患者を)診療してもらいたい。役割分担も大事で、医者が互いに顔の分かる関係を作らないといけない」と説いた。

 昨年4月に開業した練馬光が丘病院は、公益社団法人の地域医療振興協会が運営する。自治医大出身者らが設立した協会で、この1年は、地元の要望を受けてスタッフと医療態勢を拡充してきた。

 常勤医師は開業時より20人増の86人、看護師は63人増の226人になった。病床数は158床増の342床。開業時に「9病棟すべてを稼働させる」とした地元との約束を1年かかって果たした。給排水設備が老朽化していた集中治療室(ICU)は工事終了後の昨年8月から稼働し、分娩(ぶんべん)も妊婦検診の受け入れから半年後の9月に始めた。

 ただ、昨年度の外来患者数は1日平均341・7人で日大時代(10年度)の773・7人の半分程度。入院患者数(1日平均)も日大時代の266・5人に対し、128・1人だ。

 乳腺外科部長の長谷川俊二さん(61)は「新しい病院なので、地元とのルート開拓が大変だ。開業医は(患者の紹介を)まだ様子見していると思う」。

 地元では、日大練馬光が丘病院の患者が、系列の日大板橋病院や近隣の順天堂大練馬病院に流れたとされる。それでも、最近は地元病院訪問などの成果が実り、今年5月の外来患者数は1日平均505・8人に増えた。

 とはいえ、昨年度の病院の収支は20億円超の赤字になったもようで楽観できる状況にはない。施設は手狭で建て替えを検討する時期にさしかかっており、課題はなお山積みだ。

 (橋田正城)


 ◆キーワード

 <日大医学部付属練馬光が丘病院> 1991年に開業し、昨年3月末で運営を終えた。練馬区は工事費や賃料免除などで計119億円を支援したが、日大は「年平均で約4億5千万円の支出超過が発生している」と、不採算を撤退の理由に挙げた。日大は開設時に区に差し入れた保証金50億円の返還を求める訴訟を起こし、区と争っている。

 区は後継病院を公募し、地域医療振興協会が受け継いだ。「土地と建物を無償で貸し出す」「30年間は原則として病院を運営する」という基本協定書を協会と結んだ。