IWCC (世界銅加工業者協議会)Joint Meeting 報告会でマーク事務局長語る

2013.06.01

IWCC (世界銅加工業者協議会)Joint Meeting 報告会でマーク事務局長語る
5月15日、ホテルオークラにて、12日から14日にかけて東京で開催されたIWCC Joint Meeting(ジョイントミーティング)についての成果報告会がおこなわれた。

 IWCC(世界銅加工業者協議会)は、世界の銅加工業者の団体。ジョイントミーティングはIWCC設立の4年後にあたる1957年から開催され、今年で69回目だ。
 原料供給先である世界の銅生産者(銅鉱山と銅製錬)と銅加工業者(電線、伸銅)が一堂に会し、世界の銅を取り巻く状況について講演を通して意見を交換し、約20名の講演が行われた。
 日本での開催は、1997年の神戸開催以来16年ぶりの2度目。 
日本の関係者(製錬・電線・伸銅・商社・他)の皆様方の関心も深く、日本からは約150名、世界の銅産業の関係者が参加した国際会議だった。

報告会はIWCC 会長 松本正義氏(住友電気工業(株)社長)
IWCC 事務局長 マーク・ラベット氏と、その通訳の方。
JWCC専務理事 日高俊信氏(日本伸銅協会専務理事)によっておこなわれた。

 初めに松本氏が出席者を代表してジョイントミーティングで行われた講演の概要について説明した。福島の原発、津波や円高進行で、東京開催は危ぶまれたが、日本を元気づけるという意味で、国内外から300名強の方に参加していただいた。
 今回の日本開催では、日本の多くの皆様にご挨拶や講演を頂いた。初めに、菅原経済産業副大臣に日本開催還元の挨拶がおこなわれ、基調講演として、日本やアジアの経済動向、宇宙での経験を通した同産業の最先端技術の役割の紹介がおこなわれた。
 業界動向については、日本の銅産業(精錬、電線、伸銅、需要分野)の現状と課題を今後の技術動向を通して紹介。生産者の現状、銅の需要拡大と代替化の動き、銅価格変動の影響、商品取引の現状について紹介が行われた。
 日本以外から来られた皆様には、各国の銅加工業が経験している厳しい現状の紹介。
 銅からの代替・銅離れや加工業の現状が紹介。これらの講演、説明はLMEやSHFE(上海先物市場)の講演等と関連して意義のある意見交換となり、中国の現状やアフリカの銅事業への投資等に関する講演も行われた。
そして、会議の最後には例年のことだが、銅需要見通しの交換もおこなわれた、という。

この報告を踏まえた上で、会場では質疑応答が交わされた。

 「IWCCは、銅の価格の乱高下に対してどのような対策策をとられるのか?」という質問に対して、マーク事務局長は、この問題に対して、銅が金融商品化して、あまり使われない商品になってきた。その結果価格の乱高下が起きて、加工業者に大きな影響を与えている。IWCCは、ジョイントミーティングのような場を使って、銅産業が直面している困難を告発してきた。このような場を使うことは、直接情報をLMEに提供するという意味でいいことだと思う。銅の代替問題は、もう何年も直面している銅市場の特徴だ。しかし、だからといって、銅産業が手をこまねいているということは意味しない。多くの銅の会社が一つの材料にだけ焦点を当てて仕事をしている。多くの会社が銅を扱っている。
 他の材料とのバランス。銅と他の材料との間で振り子のような揺れがないことを願っている。IWCCとしては、マーケットで、銅の立場を防衛していくためのプログラム作りをおこなっている。世界の企業がいっしょにコンセンサスを作っていくのは時間がかかるかと思うが2013年以内には何か動きがあるのではないかと期待している。と答えた。

 「中国の影響による需給の乱高下についてどう考えているのか?」という質問に対して、マーク事務局長は、会議では中国に対しての議論が大きく重ねられた、と語り、中国の動向が与える影響は大きく、少しの動きが、世界全体に大きな影響を与える。中国の中でも他の国と同様による影響を受けている。価格の乱高下ほかの材料による代替。ほかの国でもみられる。したがって、他の国が持つ懸念も中国の銅産業と共有している。
 中国は引き続き大規模な都市化計画を持っている、西部西海岸から内陸部に広がりつつある。通常、インフラ開発というのは銅集約的な取り組みである。中国の銅の消費の伸びは続いていく。年間消費量は800万トンくらい、率は減っているが、量自体は変わっていない。したがって一つの材料でもって、年間800万トンを消費しているような国なので、仮に中国で代替が進むようでありますと、世界全体にも大きな影響を与えることになるだろう、と語った。

 また、「先進国は代替の問題等、日本と同じ課題を抱えていると思うが日本のような状態になった海外の成熟した銅産業はどのように成長していけると思われるか?」 という質問に対して、マーク事務局長は、「答えるのが非常に難しい質問だ」と前置きをしたうえで、先進国は今後、付加価値の高い高性能製品を生み出すことができる。その良い側面は商品に付加価値がつくこと、悪い側面は製品が薄型化、小型化していくことで銅の使用料が減っていくということだ。銅の使用料は減っていくが、それがそのまま消費量の減少が、銅業界が困難を意味するものとは限らない、と語った。

 「香港取引所LMEを買収したことの影響、買収額が巨額でしたが、そのことについて、どうお考えか?」 という質問に対しては、松本会長はこれに関しては、ジョイントミーティングでも質問があった。LMEは、世界のインデックスを出しているところ。中国は上海取引所がある。香港はLMEを買ったが、あれはあくまでLME。中国は香港取引所があって、中国国内のインデックスを作るのは上海。コメックスはアメリカ、LMEは世界という仕分ができている。香港とSHAはどうなのか?北京政府がどう思っているのかわからない。みんながあれこれ推測して話していたが、今のところどうなるのか、わからない、と語った。
 マーク事務局長もまた、似た意見を持っている。IWCCとして関心があるのは、LMEの買収後も価格について、完全な透明性を維持してほしいということ。今後どうなるのか、憶測をもって議論するのは時間の無駄であり、起こっていることを事実として見なければならない。ジョイントミーティングでの講演でも言われていたが、これまでと何ら変化はないというのが実情だと思う。しかしながら、物事がこれ以上悪化することは望まないということを、ジョイントミーティングのような場で表明することは大事だ。と語った。

 「今後の銅の需要見通し」についての質問には、マーク事務局長は、2013年、2014年の見通し、予測は困難だが、引き続き西ヨーロッパ・ユーロの経済の萎縮効果が出ているとみている。今後の需要への影響要因は、パーセンテージでみた場合の経済成長の鈍化がある。しかし明るい側面もあり、北米特にアメリカで回復の見込みが出てきている。
 それらの要因をすべて考えるに、2013年に3パーセント、14年に3パーセントの伸びが製錬銅において期待できると考えていると答えた。

 
 「日本の銅産業を代表して世界に向けてどのようなスピーチがおこなわれたのか?」という質問に対しては、日高専務理事が、日本の伸銅、電線、製錬、それぞれ課題を抱えている。状況を報告したうえで、克服するうえでの課題を、各会長から報告と今後の挑戦課題について発表がおこなわれた。電線なら導体の最適化、超伝導ケーブルの開発。伸銅については高機能化高品質化を各品種別に目指している。
 精錬に関してはリサイクルの強化など、課題の克服のために挑戦している。と語った。

 
 最後に、「JICCが進めているという銅の新しいプログラムのイメージについて伺いたい」という質問に対して、マーク理事長は新しいフィールドをどう開発していくのかが大事だと回答。し、現在、IWCCはICAとの共同開発を考えている。代価材料 銅の復活を考えている。
現在は銅の価格変動が激しいので、エンドユーザーが銅を使えないことが問題だ。
これに対してどうLMEに改善を求めるよう、プレッシャーを与えないといけない。

 銅の代替(substitution)が進んでいる理由について理解しないといけない。価格的要因、技術的要因、物的特性があるが、代替の決断はシンプルなものではなく複合的要因によるものだ。私達は銅の強みを理解しているつもりだが、代替材料のもつ弱みについてもっと研究するべきだと考えている。銅がベストの材料というのは簡単だが、それを証明する必要がある。でも銅がベストの材料であると私は思っていると、語った。

 最後に松本会長は、競合して負ける場所では戦わないで、いいところを伸ばしていく。他の銅線の熱伝導率の良さや殺菌性の分野で伸ばしていくべきだと語り、報告会は終了した。