帯広の医療法人北斗*ウラジオで画像検診開業*予防医療、海外へ先駆け

2013.05.30

帯広の医療法人北斗*ウラジオで画像検診開業*予防医療、海外へ先駆け
2013.05.29 北海道新聞

 【ウラジオストク相内亮】帯広市内で北斗病院などを経営する社会医療法人北斗(帯広)は28日、ロシア極東のウラジオストクに北斗画像診断センターを開業した。
脳や心臓のドック事業を展開し、予防医療の普及を目指す。遠隔診断システムを使って帯広の医師も診断に参加する。
日本の経済産業省によると、日本の医療機関がロシアで開業するのは初めて。

 日本政府は成長戦略の一環として医療技術の海外展開に乗り出しており、安倍晋三首相は4月の訪ロでも日ロ両国の連携強化を呼びかけた。
北斗の進出は「国際展開の先駆け」(内閣官房健康・医療戦略室)と位置づけられている。

 同日の開所式には日本側から政府や商社、ロシア側から沿海地方議会やウラジオストク市などの関係者が出席。
北斗の鎌田一理事長は「日ロの協力でこの日を迎えた。将来は診断だけでなく治療も行えるよう大きく羽ばたいていく」とあいさつ。
ウラジオストク市のプシカリョフ市長は「日本の高い医療技術を歓迎する」と述べた。

 センターはウラジオストク中心部から北約20キロの幹線沿いにあり、広さ約640平方メートルの建物に日本製のコンピューター断層撮影装置(CT)などを設置。当面はロシア人が医師ら18人、日本人は画像診断技師ら5人の体制で、がんや脳卒中、心臓疾患の早期発見を図る。
地元病院の患者の画像診断も行う。6月上旬から1日25人程度の利用を想定している。

 難しい症例はインターネットを使った遠隔診断システムにより画像データを帯広に送り、北斗病院の医師が診断。
さらに高度な治療が必要な場合は同病院が受け入れる。

 北斗は予防医療の概念が普及していないロシア極東での画像診断の将来性に着目。
昨年2月、現地の保養施設運営会社など4社で合弁企業を設立し、保養施設を一部改修・増築してセンターとした。

*社会医療法人北斗 鎌田一理事長(63)に聞く*リハビリや介護も視野

 ウラジオストクに画像診断センターを開設した社会医療法人北斗の鎌田一理事長(63)にその狙いや今後の展開を聞いた。(聞き手・相内亮)

 --開設の狙いは。

 「私たちはかねてから外国の患者を帯広に受け入れる医療ツーリズムに関心があった。ロシア極東に着目し、2010年9月、ウラジオストク市を視察した。人口約60万人の都市なのに、市内には高度な画像診断のできる磁気共鳴画像装置(MRI)が数台しかなかった。
予防医療の提供体制が貧弱で、多くの市民は発症してから通院していた。医療ツーリズムよりも現地での予防医療の需要が大きいとみて、進出を決断した」

 --進出に当たり困難はありませんでしたか。

 「ロシアの医療制度の知識もなかったが、現地の保養施設運営会社など信頼できるパートナーと合弁会社をつくったのが大きかった。
情報収集が容易になり前に進めた」

 --今、政府は医療技術の国際展開に乗り出し、安倍晋三首相は4月の訪ロで医療分野での日ロの連携強化を呼びかけました。国の動きに先んじています。

 「私たちが進んできた方向が間違っていなかったとあらためて思っている」

 --今後の展開は。

 「診断にとどまらずにいずれは医療機関として治療も手がけたい。将来はリハビリや介護も行い、医療から在宅介護へとつながる地域医療体制をロシア極東に構築したい」