名倉英一さん 全国初、同規模公立病院の統合率いる

2013.05.24

 


(インタビューしずおか)名倉英一さん 全国初、同規模公立病院の統合率いる/静岡県
2013.05.21 脚新聞  


 掛川・袋井統合新病院長(64歳) 民間の手法で合理的に経営を


 医師不足や赤字経営を解決しようと、袋井市と掛川市の公立病院を統合再編し、1日にオープンした新病院「中東遠総合医療センター」(掛川市菖蒲〈しょうぶ〉ケ池)。
同規模の公立病院同士の経営統合は全国初の試みだ。両市長に代わり経営責任を負う名倉英一院長に課題を聞いた。


 ――経営統合の意義は

 掛川や袋井のような中規模の公立病院が、医師不足によって十分な診療を提供することが難しくなりました。
医師など医療スタッフを集約し、もう一つグレードの高い病院にする。つまり、病院経営の立て直し、救済です。

 もう一つの意義は、浜松市の隣に位置する人口47万人が住む中東遠地域の2次医療態勢の整備です。
県内を八つに分けた2次医療圏で、500床を備える大病院の磐田市立総合病院がある一方で、この地区の東側には核になる病院はなかった。
掛川と袋井の病院を統合し、脳卒中などの急性期患者に対応した500床の基幹病院を造り、中東遠東部の医療の核にするのが狙いです。
地域福祉とも連携し、患者が退院した後も、在宅で医療福祉を受けられる体制をつくりたい。

 ――新病院の特徴は

 心筋梗塞(こうそく)と脳梗塞(こうそく)などの急性期患者に対応するのが当初の目標でした。これは開院時にかなり達成できました。
がんを早期発見できる最先端機器を中東遠地域で初めて導入し、がん治療の拠点の磐田市立総合病院を補う病院になれます。

 ――院長としての決意を

 3年前に掛川市立総合病院長に着任し、新病院建設準備に取りかかりました。
全国の公立病院で経営や医師確保が難しくなっています。
総務省が全国の公立病院の再編・ネットワーク化を推進する中で進められたのが、この統合プロジェクトです。
うまくいかないと困るのです。きちんとやれば立て直せます。何としても成功させたい。

 ――黒字化の見通しは

 公立病院は非効率になりがちです。民間の手法で合理的に経営することが大切。
掛川市立総合病院では3年かけて経営改善に努め、8億円近かった赤字を2年目で黒字に転換できました。新病院は大きな投資をしている。
すぐに黒字化するのは難しいが、3年間取り組んだ効率運営を心がけたいと思います。多くの市民に来ていただき、運営するスタッフの気持ちを大事にします。

 ――統合の難しさは

 気質や文化が異なる二つの病院が一緒になるのですから、融合は難しい。企業でいえば合併・買収(M&A)です。
一体化に時間はかかるでしょうが、医療はスタッフの合意ができており、すぐにできます。足して2で割るわけではない。新しい基幹病院のあるべき姿を追求します。

 名大医学部と浜松医大が医師の確保で応援してくれます。十分とはいえなくとも、まずは93人の必要な医師は確保しました。
救急医療をつなぐ核ができた。そこから入って、新しい診療を築く気持ちでやります。

 (竹田和敏)

    *

 なぐらえいいち 1975年に名古屋大医学部卒業。専門は内科、血液学。2004年に愛知県常滑市民病院副院長、10年に統合新病院長の予定者として掛川市立総合病院長に着任。13年5月から現職。名古屋市生まれ。


 <新病院の建設場所巡り紛糾も> 統合新病院を掛川と袋井のどちらに建てるか、両市の間で紛糾し、なかなか決まらなかった。当時の病院建設協議会長は完成式典で「投げ出したくなった」と振り返った。結局、歩み寄り、掛川市のゴルフ場跡に決まった。