訪問看護師 1人開業の基準緩和を

2013.05.21

 

(私の視点)訪問看護師 1人開業の基準緩和を 菅原由美 5・21 朝日新聞

菅原由美さん
 訪問看護ステーションは「保健師、看護師、准看護師を常勤換算で2・5人以上配置する」という指定基準があり、これをクリアすれば医療保険と介護保険が適用される。
しかし歯医者はもとより助産師も1人で開業できる。

私たち「開業看護師を育てる会」は、患者さんのニーズに応えるために、看護師も医師や助産師と同様、1人でもステーションを開設できるよう厚生労働省令の改正を求めてきた。
特に全国の約4割の市町村にはステーションがなく、一刻も早い改正が待ち望まれている。
 
訪問看護師は、医師の指示の下に1人でご家庭へ訪問し、医療行為を行う。ヘルパーへの支援を含め、広く療養上のお世話をする。
医師とヘルパーの間を取りもつ極めて大きな役割を果たしている。特に、在宅でみとりをするためには看護師がそばにいるのが最もよいと自負している。
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 多くの公益活動に携わっている人たちの賛同もあり、2011年3月に行われた行政刷新会議の「事業仕分け」でも、「一定の要件の下で1人開業を認める」との結論が出された。
しかしその後、何も進展していない。
被災者の支援のために被災地特例が認められたものの、多くの申請が却下され、現在も事業が続いているのは岩手県一関市、福島県南相馬市、宮城県石巻市の3市のみ。
しかも省令で本年9月末で終了するとされたので、少なくとも「復興まで継続する」よう呼びかけている。

 基準緩和に反対する人は「1人では『質』が担保されない」を理由にあげるが、2・5人体制でも医師の指示があれば1人で訪問できる。
現に円滑に運用されており、患者ニーズに応えるべきだ。
 
また「病院における看護師不足」も社会問題になっているが、看護師約200万人のうち3割にあたる約60万人は、育児などのために実働していないのが現状だ。彼女たちが1日3~4時間、週に3~4回でも近所の患者さんのもとを友達のように訪問することができれば地域に貢献できるし、看護師全体の社会的評価も確実に上がることだろう。
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 訪問看護師は24時間待機を条件に報酬の加算を受けられる。現場の経験からすれば、在宅医師と同じく日頃から関係機関と連携していれば、救急対応も含めて十分にニーズに応えられると考える。
看護師が看護師1・5人を常時雇うことは困難だが1人開業はできる。
事業者のほとんどが零細で利益は少なく、社会貢献活動のようなものだ。訪問看護の充実に向け幅広い層の協力をお願いしたい。
 (すがはらゆみ 開業看護師を育てる会理事長)