◎社説 国保の府県化 激変の緩和欠かせない

2013.05.14

 

◎社説 国保の府県化 激変の緩和欠かせない 2013・5・13
2013.05.13 京都新聞 


 国民健康保険(国保)の運営主体を、市町村から都道府県に移す方向を政府の社会保障制度改革国民会議が打ち出している。慢性的な赤字に陥っている市町村国保の財政を広域化で立て直す狙いだ。

 これに対し厚生労働省は、現在は市町村ごとに異なる保険料を都道府県内の平均額に一本化すると、1人当たりの平均保険料が最大で年約3万9千円の値上げになるとの試算を示した。

 市町村の国保は、高齢化で医療費が膨らむ一方、無職や非正規雇用の人ら低所得層の加入増で、構造的に財政基盤が弱い。
都市部の自治体は一般会計から繰り入れて運営を支えている。都道府県単位に広域化する改革案は以前からあるが、全国知事会が反発し、実現しなかった経緯がある。

 試算によると、京都府の市町村間で約2倍の保険料格差がある。
1人当たり保険料が最大の木津川市が9万2341円、最小は伊根町の4万6593円で、府内で一本化すれば伊根町は3万1456円の値上げになってしまう。滋賀県では、甲良町が2万4668円の値上げになる。

 厚労省が試算を示したのは、改革を急ぐ国民会議の姿勢に、不安を抱いた表れだろう。

 確かに、都道府県内の保険料格差はあまりに大きく、一気に値上げすれば保険料が安い市町村住民の家計を直撃する。

 保険料の差は大都市に病院が集中する地域医療の偏りの裏返しでもある。
地方の国保病院が経営難で続々と閉鎖され、医療過疎を深刻化させた。
病院に通いたくても身近にない人が都市部と同じ料金を払いながら、サービスに差が残れば不公平感が生じかねない。

 保険料を府県単位でならすならば、激変を緩和するため、段階的に行うべきだろう
。並行して、都道府県内で医療資源をバランスよく配置するための手だてを都道府県が持つことも重要だ。

 京都府は、北部医療圏の医師不足に対し、さまざまな努力を続けてきたが、現状では医療施策に関する府の裁量権は極めて狭い。

 経営責任だけ都道府県に押しつけるのではなく、移管するならば地域の実情に合わせた医療政策の手を打てるようにすべきだ。

 保険医療機関の指定・取り消し権限や、地域特性に応じた診療報酬を設定できるよう、国から権限移譲が必要との声は国民会議でも上がっている。

 高齢者医療制度との整合性、保険料徴収態勢など、国保の改革に積み残された論点は多い。制度の移行過程で住民にしわ寄せが行かないよう、目配りが欠かせない。

京都新聞社