(社説)待機児童解消 やるなら、今でしょ

2013.05.13

(社説)待機児童解消 やるなら、今でしょ
5/12 朝日新聞社説
 
国から財源を引っ張るためにも、自治体が子育て支援に本気を見せるときだ。
 認可保育所に預けられなかった親たちが異議申し立てをする発火点となった東京都杉並区で注目すべき動きがあった。
 保育園に預けられなかった待機児童の数え方を改め、やむをえず育児休業を延長したり、仕事をやめたりしたケースを含めた数字を公表したのだ。
 この結果、今年4月現在の待機児童数は285人。従来の数え方だと94人で、3倍に膨れたことになる。
 待機児童数は厚生労働省が全国集計しており、昨年4月は約2万5千人。ただ、数え方は自治体の裁量が大きい。潜在的な待機児童数は85万人という推計もあり、まさに「氷山の一角」に過ぎなかった。
 表に出る待機児童が多ければ、行政は対応を迫られる。厳しい財政事情を背景に、できるだけ小さく見せたいという意識が働くのは自然だ。
 そこをあえて、大きく見せたのは、住民のニーズに正面から向き合う覚悟があってのことだろう。評価したい。
 自治体が頭を切り替え、子育て支援がどのくらい必要かを正確に把握し、それを表に出すのは今が絶好のタイミングだ。
 理由は二つある。
 一つは、国に財源を確実に確保させるためにも、プレッシャーをかけたほうがよいからだ。
 安倍首相が先日発表した「待機児童解消加速化プラン」は、今後5年で40万人の保育の受け皿整備を宣言したものの、財源の確保は大きな課題だ。
 消費増税から子育て関連に確保される年7千億円にくわえ、国は3千億円の上積みを検討すると約束している。きっちり守ってもらおう。
 もう一つは、2015年度からスタートする子ども・子育て支援の新制度へのスムーズな移行のためだ。
 これまでは「親が保育できるか否か」で線引きしてきたが、新制度では市区町村が個々の住民の保育ニーズをよりきめ細かく認定し、それを満たすための計画をつくる義務を負う。
 いまは保育所の利用をあきらめているが、「もし預けられたら働きたい」と思っている人たちも含め、「氷山の全体像」を把握する必要がある。
 各自治体の首長や職員の実力と熱意が明らかになろう。
 待機児童数が全国ワースト1位の1552人だった横浜市は、3年でゼロが見えてきた。やればできるということだ。
 やるなら、今でしょ。