「青森市民 2病院 外部監査」

2013.04.25

 

「青森市民 2病院 外部監査」

平成24年度
包括外部監査の結果に関する報告書
青森市民病院及び青森市立浪岡病院の
財務事務の執行及び事業の管理について

第5 監査の結果
1.監査の結論
(1)総括
我が国経済の、いわゆる「失われた20年」という表現に表されるような長期間にわたる低迷と急激な高齢化進展による社会保障給付の増大等により、国、地方ともその財政運営は厳しさを増している。
医療分野においても、高齢化、医療の高度化等に伴う医療費の増加に対応して、医療費の抑制が課題となっている。

このような環境のなか、総務省は「公立病院改革ガイドライン」(平成19年12月24日自治財政局長通知)を示し、改革プランの策定、評価を通じて経営の効率化、再編ネットワーク化、経営形態の見直し等により、効率的で効果的な公立病院の運営を促してきた。

青森市民病院、浪岡病院においても、「公立病院改革ガイドライン」に基づき、平成21年3月31日より改革プランを作成し、改革を進めているところである。
しかし、残念ながら、医師・職員の努力にもかかわらず、改革プランどおり改革が進んでいるとは言い難い。
改革プランの実現可能性を高めていくには、主に以下の取り組みが必要と考えられる。

まず、二次医療圏を構成する自治体及び病院間の連絡調整を強化する必要がある。

現状、青森市民病院、浪岡病院を含め、二次医療圏単位で各病院が果たすべき役割が明確化できていない。

各病院の役割設定は、医療資源の最適配分や、中長期計画策定の前提となるものである。

次に、プランの策定及び達成について、経営、管理者、現場レベルでの権限及び責任を定め、その達成度合いを定期的に検証し、人事評価等に反映させるような仕組みが徹底されることが必要になる。

もっとも、このような体制を構築するためには、自己の権限と責任に基づく自律的な経営が可能となるような経営形態が求められることになると思われる。

また、効率的かつ効果的な経営を達成するために、業務フローの継続的な改善、債権、たな卸資産、固定資産等の財産管理や情報管理の徹底、病院の実態に合わせた規程や管理会計制度の整備・運用を実践していく必要もある。

最後に、これが最も重要であるが、個々の医師・職員のプラン達成に向けたより一層の意識改革を進めていく必要があるであろう。
民間病院の場合、患者の求める医療と供給する医療のミスマッチや非効率なサービスの提供は倒産という最大のペナルティが待っている。
そのため、否応なく外部環境分析やサービスの見直し、サービスの効率化という点を絶えず意識せざるを得ない。
一方、自治体病院では、倒産というリスクは小さいため、この点が疎かになりがちである。自ら律して、経営の効率化を達成していかなければならない。

意識改革が進めば、経営、管理者、現場の各レベルで自発的に課題の抽出とその解決策

が検討され、新たな規程の新設、改廃として文書化され、ノウハウとして堆積し、引き継がれていくであろう。

青森市民病院、浪岡病院とも、現状において、各種の会議、委員会等を通じて、改革プランの達成に向け鋭意取り組んでいるところであるが、さらなる自律的な取り組みに期待したい。

監査の結果、主な課題として以下の項目が認識された。
① 計画
医療資源を効率的かつ効果的に配分するためには、行政単位を越えた広域な医療機関の再編・ネットワークが求められる。
そのため、医療供給体制を整備する医療計画において、地域単位として医療圏が定められており、医療圏のなかでのそれぞれの自治体病院の役割の定義づけが、必要になってくる。

「改革ガイドライン」では、自治体病院を運営する地方公共団体が、県や他の市町村と共同して自ら改革プランを策定することを求めている。

ところが、改革プランを策定する際、青森県や同じ医療圏を構成する自治体の間で、自治体病院の有するべき機能、果たすべき役割について協議が行われることはなかった。
できるだけ早期に自治体間で医療資源の効率的・効果的配分について協議できる体制を構築すべきである(意見2-1参照)。


また、計画は策定しただけでは、その効果を発揮できず、計画に基づいた実行と評価と検証があってはじめて有効に機能する。


青森市民病院、浪岡病院では改革ガイドラインに従った年1回の点検・評価報告書の作成を行っているが、計画達成のための課題により迅速に対処していくためには、内部的には、例えば、月次等のより短い間隔で計画の進捗状況を把握し、実績と計画の乖離を埋めるための方策を打ち出していく必要がある(意見2-2参照)。

内外の環境変化により、計画が実態と大幅に乖離し、自助努力でその差を解消できない場合は、速やかに計画を見直し、実現可能性、達成目標の面からふさわしい内容に変更する必要がある。

青森市民病院、浪岡病院とも、平成23年度までの実績において改革プランの数値目標は達成できなかったが、青森市民病院は、平成21年3月31日に改革プランを策定したのち、計画終了の平成23年度までに改革プランの変更は行っていない。

一方、当初、平成24年度までの計画を改革プランに盛り込んだ浪岡病院は平成25年2月に改革プランの変更を行ったが、過年度の計画と実績の傾向から、改革プランで掲げた経営指標に係る数値目標等は、達成が著しく困難と容易に判断できたと考えられ、もっと早い段階で改革プランの変更を行うべきだったものと思われる。なお、青森市民病院では、平成24年度から平成27年までを計画期間とした新たな改革プランを、平成24年11月に策定している(意見2-3参照)。
42

② 一般会計からの繰入金

自治体病院は、その公共性から、本来自治体が担うべき保健医療や民間病院に対して期待できない不採算な事業も行わざるを得ない。
したがって、一般会計と病院が負担すべき経費の適切な経費負担区分を前提に、病院事業の効率性を判定する必要がある。
過去において青森市民病院、浪岡病院では、総務省通知に基づいた予算措置がなされてこなかった。
これに対し、平成23年度は、両病院の財務状況の悪化を受け、ほぼ全額予算措置されている。
このように、その時々の事情により繰入額を決定したのでは、病院の独立採算性の判定指標としての利益額の信頼性に影響を与えてしまう。

もっとも、病院会計又は一般会計の財政悪化により、あるべき繰入額を増減しなければならない場合もあるであろう。
その場合は、繰入金の取扱いについて、基本的な理念を示したうえで、その理由や法令等に基づいた繰入額と実際の繰入額の差額等を地域住民に公表し、今後地域としてどのように対処していくべきかの判断材料を提供していくことが必要と思われる(意見3-1参照)。

また、繰入額の算定は、客観的な一定の基準に基づいて算定されなければならない。
青森市民病院、浪岡病院とも監査実施時点において文書化された独自の繰入額の算定基準はない。
総務省通知に従って算定している。しかし、総務省通知は、概括的にしか算定基準を定めていない。
病院ごとの実情、例えば、都市部の病院に比べ、地方の病院は医師が集まりにくく、人件費が高くなりがちである等の実態を考慮した病院ごとの基準を作成すれば、より、適切に経費負担区分の考え方を実現できると思われる(意見3-2参照)。

基準を作成していくなかで、できるだけ、病院の実情を反映できるような繰入額の算定方法の精緻化を図ることが望ましい(意見3-3参照