「ERへ移行方針発端」 救急制限問題、神戸大病院長が会見

2013.04.19

 

「ERへ移行方針発端」 救急制限問題、神戸大病院長が会見 /兵庫県
2013.04.17朝日新聞 

 神戸大学医学部付属病院が4月上旬から救急患者の受け入れを制限している問題で、杉村和朗病院長が16日、会見を開き、受け入れ制限に至った経緯や今後の救急体制について報道陣の質問に答えた。
一問一答は次の通り。


 ――9人中6人の医師が辞表を提出することになった理由は。

 「当病院では、これまで救急部が全ての救急患者を退院まで診る体制をとってきたが、今年度から救急部が患者の振り分けをし、治療は専門診療科が行う“北米型ER(救急救命室)”体制に切り替えることにした。

この新方針に合わず辞意を表明した医師は1人いるが、ほかは以前から他病院や他診療科へ移る希望があったと聞いている。
新方針と辞意との間の因果関係はわからないが、ER体制への切り替えがきっかけとなっていることは事実」

 ――医師が大量にやめてまで、新方針にこだわる必要があったか。

 「救急医の疲弊・立ち去りは全国的にも問題になっている。それを解消するのがER。地域医療を守るためにもER体制は必要。それは病院の総意」

 ――受け入れ制限が地域医療に与える影響をどのように考えるか。

 「昨年1年間で当病院が受け入れた救急患者数は約6600人で、うち救急車できた患者は約2400人。
さらに新規患者はうち約420人で、日に1~2人。4月から受け入れを制限しているのは、この新規の救急患者分で、それについても他病院にカバーしてもらう体制をすでにとっている」

 ――早めに医師の補充はできなかったのか。

 「救急は全国的に医師不足の状況にある。
すぐに医師が必要だからと、どこかほかの病院から引っ張ってきても、今度はその病院が困る。
地域医療の中核病院として、それはやってはいけないこと。
ほかの病院に協力を仰ぎながら、受け入れを制限し、ER体制に移行していくのが、一番良い方法と考えた」

 ――受け入れ再開は数カ月後ということだが、神戸市消防局は5月上旬くらいまでと認識している。

 「5月には新しい教授が着任する。きっちりと今後の方針を固め、早急に市の消防にもお伝えする」

 ――医師の大量辞職、受け入れ制限という事態になった責任は。

 「教授会にある。我々の責任。
体制を変えるときある程度のリスクはあると思っていた。
でも、できるだけそれを回避するため、他の診療科の協力も得て診療に当たっている。
他の診療科の協力が得られない状態だったら、このような変革はしない。
コンセンサスがあったからこそ新しい体制に持って行こうとした」


 ◆戸惑う市消防局

 神戸大学病院は、軽症患者に対応する1次救急から重篤患者に対応する3次救急まで、幅広い機能を担ってきた。
神戸市消防局警防部の栗岡由樹・救急課長は、新規救急患者の受け入れ再開が数カ月先になることについて、「ゴールデンウイーク明けにはと聞いていた」と戸惑った様子で語った。
「今のところ他の病院でカバーできているが、受け入れ制限期間は短い方が良い。
長くなるようであれば申し入れもしないといけない」と話した。(水戸部六美)