医療をデザインする・1/底堅い成長市場に業界注目/公立病院でDB方式増加

2013.04.17

 

医療をデザインする・1/底堅い成長市場に業界注目/公立病院でDB方式増加
2013.04.15 日刊建設工業新聞  


 施設の老朽化や超高齢化社会の到来を背景に、病院の建て替えが官民や都市・地方を問わず増えている。災害時の対応力や新たな医療制度なども見据えた施設の作り方が求められる中、医療・福祉施設市場を重点分野として攻勢をかける建設関連企業は少なくない。医療建築の今後のあり方や新たな方向性とは-。

設計事務所やゼネコン、サブコン、メーカーの取り組みから探る。(編集部・医療建築取材班)

 「11年度は突出して多かった。今も需要は続いている」。
医療施設関連の建設市場の現状について、ある大手ゼネコンのプロポーザル担当者はそう語る。

 医療施設の整備事業はもともと、オフィスビルなどと比べて景気に左右されにくく、毎年底堅い需要がある。

そうした中、需要の伸びが目立つのが公立病院だ。政府が進めた「平成の大合併」で市町村合併が相次ぎ、合併特例債を財源にして老朽病院の建て替えや集約化を検討する自治体が増加。11年3月に起きた東日本大震災をきっかけに耐震性や業務継続機能の重要性があらためて認識されたことも、こうした動きを後押しした。

 民間病院では、08年秋のリーマンショック以降に建て替えや改修を検討する経営者が増えたとの見方がゼネコン関係者の間では多い。

当時、多くの企業が設備投資を抑制したことで、少なくなった工事をめぐってゼネコンの受注競争が激化。建設単価が低下傾向にあったからだ。

「(建て替えるなら今が)お値打ちと判断する病院経営者もいた」とあるゼネコンの担当者は振り返る。

 病院の収入は、さまざまな医療行為に対して国が細かく定めた「点数」に基づいて決まってくる。

製品の値段や賃料などと違って自分では単価を決められない。毎年の収入にある程度上限がある環境だからこそ、「ここ数年、病院経営者は(工事を)買い時と見ている」(ゼネコン担当者)という。

 需要の中身も近年は変化してきた。中でも公立病院の整備では、かつては少なかった設計・施工一括、特に実施設計と施工がセットで発注されるケースが目立つ。

公立病院の整備は、企画・構想立案→基本設計→実施設計→工事監理・施工の順に進むのが一般的。

従来、ゼネコンが携わる領域は施工だけというのが普通だったが、ここ数年は、発注形態が変化してきたことで設計などにも関わる社が確実に増えている。

 公立病院を管理する自治体などは、コンサルタントや設計会社がまとめた企画・構想や基本設計があれば、概算コストとおおまかな仕様は把握できる。

その範囲に収まるなら、実施設計から後をゼネコンに任せても事業計画に大きな狂いは生じない。

一方、ゼネコンにとっては、実施設計に関与することで技術力を生かす余地が広がり、工事の採算もコントロールしやすくなる。双方にメリットがあるというのがゼネコン側の見方だ。

 もっとも設計事務所も負けてはいない。
「設計会社には独自に培ってきた提案力がある。

抜きんでたものも多い」との声でゼネコン側も一致する。これからの成長市場と目される「医療」をめぐり、建設関連業界の競争も一段と激しくなっている。