「外遊び制限で子供の体力低下、銅が感染予防の一助に」

2013.03.23

 

健康百科(2012年4月10日 メディカル トリビューン)


「外遊び制限で子供の体力低下、銅が感染予防の一助に」

いわき市の幼稚園、保育所―日本銅センターが銅製蛇口などを寄贈

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)やインフルエンザウイルスなど、多くの菌やウイルスを死滅させるという銅。2013年竣工予定の北里大学病院など、医療施設でも取り入れるところが出てきた。こうした中、

福島県いわき市内にある金谷幼稚園と小島保育園が2月末、蛇口や手すりなど、子供たちが触れる機会が多く菌などが増えやすい場所に銅を導入した。

金谷幼稚園の齋藤英子園長は「放射線の影響で外遊びの時間が制限しているが、それに伴い子供たちの体力が落ちている。感染症の予防に、銅による除菌が一助になっている」と述べている。


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園児48人中26人がおたふく風邪に

金谷幼稚園はいわき駅から3キロほど、つまり福島第一原子力発電所から約40キロに位置している。

同園では、市内にある他の幼稚園に先駆け、昨年(2011年)5月31日に園庭の土を入れ替えを行った。

この日の放射線量は1時間当たり0.09マイクロシーベルト。同日のいわき駅周辺では同0.14マイクロシーベルトだったので、その効果は出ているようだ。

 同園では昨年3月以来、園児の外遊びは1日30分に制限している。
外遊びから教室に戻るときは必ず着替えをするという徹底ぶりだ。

 こうして放射線による被害を最小限に食い止める努力をしているが、そこで発生したのが、外遊びをしないことによる園児の体力低下という問題。

同園の齋藤園長は「家庭でも外出を控えている場合が多く、目に見えて体力が落ちている。免疫力も落ちているためか、昨年秋に園児48人中26人がおたふく風邪にかかった」と心配する。

銅導入で「B型インフルおさまった印象」



 銅は、MRSAを2時間以内に99.9%殺菌することが実証されたほか、インフルエンザウイルスや腸管出血性大腸菌O(オー)157、ノロウイルスなどにも有効であることが報告されている。

そのため、2008年に米国環境保護庁(EPA)によって、金属として初めて殺菌性が認定された。

また、北里大学病院などでも検証が行われ、良好な結果が得られているという。

 金谷幼稚園は、園児用手洗い場の蛇口と階段の手すりに銅を導入した。

日本銅センターがCSR(企業の社会的責任)活動の一環として提供したもので、まだ実証実験は行われていないものの、「偶然かもしれないが、銅を導入後、B型インフルエンザウイルスの流行がおさまった印象がある」(齋藤園長)という。

 齋藤園長は「当園は医療法人ときわ会に所属しているため、病院並みの感染予防を行っているが、それが逆に園児の抵抗力を落としてしまっているのではないかと感じている。

また、手洗いや手指消毒による園児の手荒れも気になっていたところ。銅によって感染予防が行えるのは、非常にありがたく思っている」とした。

ガス発生する塩素消毒は行いづらい



 一方、金谷幼稚園の近くにある小島保育園も、日本銅センターの提供で蛇口やドアハンドルなどに銅を導入した。

同園も園児の外遊びの時間を午前中30分、午後30分に制限している。金谷幼稚園の齋藤園長と同様に小島保育園の鎌倉富士
夫園長も、園児の体力低下を目の当たりにしている。

 同園では、洗い残しを可視化する手洗いチェッカーや除菌水、大型の空気清浄機などを用い、外気温との差を5℃以内にしたり、湿度を50%以上に保ったりなど、衛生管理に細心の注意を払っている。

その一方で、体力が低下している園児がいる場所で、ガスなどが発生する塩素などの薬品を使った消毒は行いづらいという。

 鎌倉園長は「導入するまで銅の殺菌力は知らなかった。塩素消毒をできるだけ抑えるためにも、銅の設置は当園にとって最適だろう」と述べた。

 北里大学医学部の笹原武志講師(微生物学)は「銅を導入したからといって、手洗いや塩素消毒が全く必要なくなるわけではない。
あくまで補助的なものとしてとらえてほしい。また、すべての個所に銅を使う必要はなく、銅を使用することで衛生環境を自分たちで守るという意識の改革につながることが最大の効果だろう」と述べた。

 日本銅センターの和田正彦事務局長は「教育・保育施設の衛生環境をより安全・安心なものにすることを目指し、今後も引き続き銅の普及促進と銅に対する正しい理解の浸透を図っていきたい」としている。