医師会などは、TPPに参加すれば、誰もが安い窓口負担で医療を受けられる国民皆保険制度が崩壊し、財力によって医療格差が生じる可能性があると主張している。

2013.03.22

 

TPP
モノだけでなく、サービスも対象になる環太平洋連携協定国民の生命に関わる医療も交渉のテーブルに乗る可能性がある。
医師会などは、TPPに参加すれば、誰もが安い窓口負担で医療を受けられる国民皆保険制度が崩壊し、財力によって医療格差が生じる可能性があると主張している。(東京新聞3・21)


 Q 国民皆保険制度って何?


 A 日本はすべての国民が健康保険料を支払う代わりに、病気やけがをした際、医療費の一~三割を自分で支払えば診察を受けることができる。
財源は保険料と税だ。
診療代や保険で使える薬の値段は政府が決め、低く抑えている。


 Q TPPで何が変わるの。


 A 米国が混合診療の全面解禁を求めてくるかもしれない。


 Q 混合診療とは聞き慣れない言葉だ。


 A 健康保険が使える保険診療と、保険が使えない新薬や最新の治療法を使った自由診療を組み合わせたのが混合診療だ。
日本では原則禁止で、仮に行えば保険診療分も患者が負担しなければならない。
厚生労働省は「有効性、安全性が確認できないものに税金や保険料を投入できない」と説明している。


 Q 混合診療を解禁すると、米国にどんな利益があるの。


 A 米国の巨大な製薬会社や保険会社は日本でシェア拡大を狙っている。
解禁で保険適用が認められれば、自由診療を利用する人が増えて、高い薬も売れる。高い診療費をカバーするため、民間保険に入る人も増える。


 Q なぜ、皆保険制度が崩壊するの。


 A 政府は保険財政が厳しい中、高額な治療や薬を保険の対象にしにくい。
病院や製薬会社が高額の自由診療や最新薬ばかりに力を入れるようになれば、保険で賄える範囲が縮小し、保険制度が機能しにくくなる、と医師会は主張している。


 Q 利点はないの。


 A 最新の治療を受ける機会が増える。しかし、高額だから貧しい人は無理だ。


 Q ほかに米国が求めそうなことは。


 A 営利企業が医療機関の経営に参入できるよう求めてくるかもしれない。
日本では医療機関は「営利を目的としない」と定め、株式会社の経営は認めていない。
営利企業が参入すれば、高額な自由診療の提供を目指し、混合診療解禁を強く求めてくるだろう。


 Q 交渉の見通しは。


 A 安倍晋三首相は「世界に誇る国民皆保険を断固として守る」と明言した。米通商代表部(USTR)のカトラー代表補は昨年三月の講演で、混合診療解禁や営利企業の医療機関経営への参入を日本に求めないと言っている。
だが、交渉参加後、実際にどういう要求をしてくるかは分からない。 (上坂修子)