<揺れる地域医療 釧路日赤精神科病棟閉鎖へ>上*指定病院*縮小、医師離れ懸念

2013.02.24

 

<揺れる地域医療 釧路日赤精神科病棟閉鎖へ>上*指定病院*縮小、医師離れ懸念
2013.02.22 北海道新聞

 「常に赤字で爆弾を抱えた状態。『ドクターストップ』になれば(病院は)終わり」

 19日の釧路地域精神科医療懇談会。釧路日赤の二瓶和喜院長は、2014年3月末の精神科病棟閉鎖を先送りする方針を明らかにした。
地域の強い要望を受けてのものだが、閉鎖方針は変わらず、出席した自治体関係者の表情は厳しかった。

 精神科病棟の閉鎖方針が明らかになったのは昨年11月。
そのころから病院内では経営問題が話題に上るようになった。「本社の指定病院になると夕張市のようになるらしい」

 釧路日赤は10年来の赤字経営。収支が改善せず、日本赤十字社本社(東京)の「指定病院」になれば、人件費削減など徹底した合理化は避けられない。

「今後どうなっていくのか-」。職員は口々に不安を漏らす。
病院の不透明な将来像は財政再建団体に転落、自主的な事業がほとんどできなくなった夕張市とも重なる。

*本社の指導下に

 昨年11月の釧路地域精神科医療懇談会の初会合で、二瓶院長は「指定病院になれば不採算部門は縮小、職員はボーナスカット。
医療機器も買えなくなり、意欲の低下で医師も離れていく」と述べた。

 全国に92カ所ある赤十字病院は独立採算。決算が4期連続赤字を計上するなど基準を下回ると、本社の経営指導を受ける「指定病院」となる。

 指定病院は全国で12カ所。道内は10病院のうち伊達、栗山、浦河、函館が指定を受けている。

日赤本社は「人件費削減のほか、地域のニーズに合わせて病院の形態を転換することもある」とし、改善できなければ診療科縮小や廃院の可能性もあるという。このうち伊達日赤は地域唯一の総合病院で、伊達市から3年連続で年2億円の補助を受けている。

 釧路日赤は経営状況について「精神科病棟の赤字を一般病棟の黒字で穴埋めしていたが、一般病棟も患者減で厳しくなり、カバーしきれなくなった」と説明する。
精神科は2001年度以降、年間約1億5千万円の赤字を計上、病院全体の赤字の7~8割を占める。

 精神科の赤字は入院診療単価の安さが大きい。釧路日赤の場合、精神科病棟は1日1万5千円。
手術や検査などの診療報酬加算のある一般病棟の平均4万7千円の3分の1以下。
「不採算部門」とのレッテルを張られるゆえんだ。

*経営優先に疑問

 釧路日赤は長期入院患者を減らし、看護体制を手厚くすることなどで収支改善を目指すが、経営優先の姿勢に、医師からも疑問の声が上がる。
「道東はただでさえ医師不足。お金にならない部門は要らないと切り捨てるようなもの。
医師を派遣する大学はそんな病院に医者は出せない、と考えるだろう」

 釧路管内の精神科医は20人。釧路日赤は4人を擁する。病棟閉鎖で医師が削減されると、残った医師の負担が増え、残される外来診療も維持できなくなる恐れがある。

 釧路日赤が精神科を開設した1959年から医師を派遣してきた札幌医大の斎藤利和教授は「釧路地域から医師を引き揚げるつもりはない。
日赤の機能が落ちた時はこの地域に貢献できる方法を考えたい」と話すが、先行きは不透明だ。

                  ◇

 釧路赤十字病院が精神科病棟58床を閉鎖する方針を決めた。病棟閉鎖がもたらす影響と、釧路、根室管内の医師不足の現状や精神科患者の在宅支援の取り組みを探った。(小野孝子が担当します)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




精神科閉鎖先送り*釧路赤十字病院*地域要望に配慮
2013.02.22 北海道新聞

 【釧路】釧路赤十字病院(二瓶和喜院長)は、2014年3月に閉鎖の方針を示していた精神科病棟(58床)について、継続を求める地域の強い要望に配慮し、閉鎖を先送りする方針を示した。

ただ、いつまで病棟を継続するかは明らかにしていない。

 19日に釧路市内で開かれた、釧路地域精神科医療懇談会で報告された。

 道内では旭川赤十字病院が、常勤医の確保が困難として11年5月に精神科病棟(40床)を休止している。

こうした日赤の精神科病棟休廃止の動きに対し、道も日本赤十字社北海道支部(伊藤義郎支部長)に、精神科医療の確保を求める要望書を提出している。

 精神科病棟の休廃止は、精神科の診療報酬が低いことが背景にある。

釧路赤十字病院も精神科の赤字が病院全体の経営を圧迫しているとして昨年11月、閉鎖方針を決めた。道によると、日赤は経営悪化などを理由に、全国的に精神科病棟の縮小・休廃止を進めているという。

 道保健福祉部は「精神科の患者は内科疾患を患った人も多く、総合病院の役割は大きい。

赤十字病院は救急患者の受け入れなどの面でも重要な役割を担っており、地域医療確保のため精神科医療の維持を願いたい」と話している。