当選が決まり万歳する江口氏

2013.02.18

 

上野原市長に江口氏再選


当選が決まり万歳する江口氏(中央) (17日午後10時38分、上野原市上野原で)

 上野原市長選は17日、投開票された。無所属で現職の江口英雄氏(70)が新人3人を破り、再選を果たした。投票率は76・94%と前回(83・05%)を下回った。当日有権者数は2万1617人。

 江口氏以外の立候補者は、いずれも無所属で、新人の元市職員市川正末氏(57)、元沼津工業高専教授渡辺敦雄氏(65)、会社役員山口照義氏(62)。主な争点は、市立病院の移転・建設をめぐり、地元医師会との対立するなどした江口市長の市政運営に対する是非や、人口減少への対応などだった。

 昨年9月に出馬を表明した江口氏は、市立病院の移転や、JR上野原駅周辺整備事業の構想をまとめた1期目の実績を強調。「前回の公約で達成できたのは60%くらい。上野原駅周辺整備事業や談合坂スマートインターチェンジの設置計画などの仕上げはこれから」とし、市政の継続を訴えた。前回市長選で支援を受けた地元選出の石井脩徳県議や市議らが山口氏の支持に回る逆風もあったが、クリーンな政治へ向けた改革継続を訴え、浮動票も獲得した。

 市川氏は「行政経験の長さを生かして改革する」と強調したが、及ばなかった。渡辺氏は「上野原を日本一住みたい街にする」と主張したが浸透しきれず、山口氏は、江口氏に対する批判票の取り込みを図ったが、届かなかった。

[解説]市の将来像 具体的提示を

 今回の上野原市長選は、市の将来のあり方を議論するまたとないチャンスだった。様々な経歴を持つ候補者4人が、それぞれの立場で市の課題の解決策を示すことができたからだ。しかし、市の将来像が有権者に提示されたとは言い難い。

 市内では、告示前から特定の候補者への個人攻撃ともとれるビラがまかれたり、選挙期間中も買収のうわさが飛び交ったりした。そんな状況では、未来の青写真を示せるはずもない。ある陣営の選対幹部は「選挙の度にこんなことをやっているから郡内は取り残されるんだ」と嘆いた。

 人口減といった以前から指摘されている問題を除くと、今回は足元の具体的な争点はなかった。だからこそ将来を見据えた長期的な政策論争ができたはずだ。

 江口氏が舵(かじ)を取るこれからの任期には、JR上野原駅周辺整備計画の具体化や、2016年度の供用開始を目指す中央道談合坂スマートインターチェンジの設置が控える。いずれも市内で最も人の流れが多い場所に当たり、周辺住民の期待も大きい。当選後でも遅くはない。まずは自身が描く将来像を具体的に、分かりやすく示してほしい。(佐々木想)

(2013年2月18日 読売新聞)