天理市立病院 来春廃院へ 累積赤字12億円 病床なしの診療所に=奈良

2013.02.15

 

天理市立病院 来春廃院へ 累積赤字12億円 病床なしの診療所に=奈良
2013.02.14読売新聞  


 ◆内科、外科、婦人科に集約

 天理市は、赤字経営が続く市立病院を2014年3月末で廃院とし、入院患者を受け入れない診療所「市立メディカルセンター」(仮称)とする方針を固めた。

129床あるベッドを廃止し、診療科も7科から3科に減らして経営を改善するとしている。
ただ、市内で同病院など2病院にしかない産婦人科もなくなるため、市民からは地域医療の弱体化を心配する声が上がる。

 同病院は1950年、二階堂診療所として開所し、76年、市立病院に衣替えした。
患者数は90年代初めがピークで、91年には16万8740人、医業収入は19億9020万円に上った。

 しかし、医師不足による患者の減少や競合する病院の開設・増床などで2003年度以降は赤字に転落。

ベッドの利用率は11年度で60・6%と低迷し、患者は10万2317人と前年度より4762人減少。市は一般会計から支援を続け、11年度も約3億9000万円を繰り入れたが、累積赤字は12億3800万円に膨らんだ。

 市の案では、整形外科、眼科、小児科、耳鼻咽喉科、産婦人科を廃止して、内科、外科、婦人科の3科に集約する一方、健診センターを併設して健康診断や、がん検診などを実施する。
婦人科では出産前までの診察を行い、出産は、連携する近隣病院でしてもらう。

 医師や看護師、検査技師は約80人態勢から4分の1程度に削減する。

 センターの建物は、築38年と老朽化している鉄筋コンクリート造の東側部分(地上5階建て地下1階、5816平方メートル)は解体し、90年に増築した西側部分(同、2396平方メートル)を改修して利用する。

 市は市議会特別委員会での議論を経て6月の市議会で条例改正案を提案し、指定管理者を選んで14年4月のオープンを目指すとしている。

 病院事務局の阪原嘉章次長は「派遣元の大学の医師引き揚げや、近隣病院のベッドの増床などで経営が悪化し、有効な対策が打てなかった」と説明し、「入院はできなくなるが、今後も適正な規模で運営を続けて市民の期待に応えたい」としている。

 市内の主婦(45)は「長女が昨年9月に利用した産婦人科があり、地元で産める安心感があった。市の財政を考えると仕方ないのかもしれないが、かかりつけの病院がなくなるのは心配」と訴える。

 県市町村振興課によると、県内の市町村が経営する病院は大半が経営難で、11年度は7病院中、天理、奈良、宇陀、大淀の4病院が赤字。担当者は「医師や看護師らの人材難は中山間地域を中心に深刻で、小規模な公立病院は、特にしわ寄せを受けている」と話す。