選択 東近江市の課題 地域医療(下)経営・人員具体策を

2013.02.06

 

◎選択 東近江市の課題 地域医療(下)経営・人員具体策を
2013.02.05京都新聞  


 先月29日、東近江市立能登川病院経営検討委員会の最終報告書が市に提出された。
今後も市直営のままで行くのか、それとも民間譲渡や指定管理者制度導入に踏み切るか。
焦点の一つだった経営形態の選択は結論が出なかった。

 能登川と市立蒲生、国立病院機構滋賀の市内公立3病院は2008年、極端な医師不足に陥った。
これを受け、10年、3病院を再編する県の地域医療再生計画が策定された。

 計画に沿って滋賀病院は増床して4月から「東近江総合医療センター(仮称)」に生まれ変わり、蒲生病院も地域医療に重点を置いた診療所として再出発することが決まった。
能登川病院だけが一歩、遅れを取った形になっている。

 方針が定まらない中で医師不足は続く。
06年に14人いた常勤医は現在5人。
本来、ベッド120床あるところを半分の60床で運営している。

 自ら月3回の当直をこなす竹内孝幸院長(53)は昨年11月のフォーラムで市民に「体が限界を感じることも増えた。
自治体小病院が医師確保する難しさを痛切に感じる」と内情を訴えた。

 患者も病院の行く末を口にする。診察を終えた男性(54)は「議論ばかりで病院をどうするかの結論が出ない。
どうなるのか不安だ」と話す。

 検討委では、医師確保策など具体的な議論の進展は乏しく、中には「このままでは来年も同じ話をすることになる」と突き放す委員もいた。

 地域医療に関する市の検討組織はこの3年で同検討委が三つ目。
課題はその都度、先送りされるケースが目立った。「能登川病院の足踏みが、再編計画全体に影響しなければいいが」と心配する声もある。

 同市では、医療、介護、福祉関係者でつくる「三方よし研究会」の活動が在宅医療の分野で全国的に注目を集める。
脳卒中患者の自宅療養などで成果を上げているが、心筋梗塞や糖尿病などの患者にも同様の支援が求められており、市地域医療政策課は「民間の力をもっと生かす方策を見いださないと」と話す。

 加えて看護師の確保も十分とは言えない。同市を含む東近江圏内の人口10万人あたりの看護職員数は全国平均より210人少ない約880人にとどまる。

 2年前に重点的に取り組んでほしい施策を市が市民に聞いたアンケートで、医療は2位に圧倒的な差をつけてトップだった。
市民の安心につながる医療体制をどう築くか。トップの手腕が問われる。