守る地域医療~県立総合病院30年(4)=院内保育所を拡充-女性医師の再就業狙う

2013.02.01

 

守る地域医療~県立総合病院30年(4)=院内保育所を拡充-女性医師の再就業狙う
2013.01.31 静岡新聞

 医師・看護師不足が続く医療現場で、女性が働き続けられる環境づくりは大きな課題だ。
県内最大級の規模を誇る県立総合病院(静岡市葵区)でも事情は変わらない。

 同病院は昨年4月、老朽化した院内保育所の建て直しを機にサービスを拡充し、軽い病気ならば預かりを引き受ける病児保育を県内公立病院で2番目に導入した。
急な残業が入りやすい医師向けには午後9時半までの特例延長保育も始めるなど、手厚いサポート体制を整える。

 「じゃあね。いい子にしててね」

 午後4時前、準夜勤前の看護師(28)が3歳の長女を院内保育所「おひさま」に預け、笑顔で手を振り仕事に向かった。

子供を一晩預かる夜間保育の利用者だ。勤務終了は翌日午前1時ごろ。その時間でも子供を連れて帰れるが、深夜に起こすことになる。

看護師はそのまま車で市外の自宅に帰って眠り、夜が明けた休日になって長女を迎えに保育所に戻った。「夜勤がある仕事と子育ての両立は、こういう施設がないと難しい」という。

 ただ、女性医師の利用は少ない。同病院に女性医師は40人いるが、預かる子供は現在2人だけ。
「おひさま」に来る65人のうち50人は親が看護師だ。育児休業の利用者も2004~11年度、毎年2人以下にとどまり、女性医師が働きながら子育てする難しさを示す。

 医療技術の進歩は速く、特に医師は現場から長く離れると復帰が難しい。
このため、県は06年度から再就業支援事業に取り組む。
出産などで一度退職した医師がブランクを心配せず再就業できるように、働きたい病院で1カ月ほど研修を受けてもらう制度で、県は医師1人につき30万円を病院に助成する
。だがこの研修も受講者はまだ2人だという。

 県地域医療課の宮崎隆昭班長は「子育てしながらでは専門医資格も取りにくいなど、キャリアアップが難しいと思われているのかもしれない。
さらに対策を考えたい」と話す。

 県立総合病院には再就業を考える女性医師らの相談を受ける「ワークライフバランス支援室」もある。
担当の森典子副院長は「女性医師の就業支援は、男性を含めた医療界全体を支えるために必要」と、さらなる改善を模索している。