[吉村県政・2期目の課題](2)医療の地域格差 解消せず(連載)=山形

2013.01.16

[吉村県政・2期目の課題](2)医療の地域格差 解消せず(連載)=山形

2013.01.13 読売新聞東 


 家族や看護師がベッドサイドに赴き、寝たきりの患者の昼食の介助が始まると、病室は少し慌ただしくなる。31床の療養病床が新たに設けられた寒河江市立病院。
救急医療も担う小規模病院だが、一般病床125床のうち、約4分の1を今月から療養病床に転換した。

 同市や河北町など1市4町の西村山地域には、これまで療養病床がなかった。
山形市の県立中央病院などで手術を終え、病状は安定したが長期療養が必要となった同地域の患者は、東根市や上山市の病院に入院するケースが多かった。

 「もう山形市の病院から、問い合わせが殺到しています」

 寒河江市立病院病院改革室の安孫子和広室長は反響の大きさを語るが、療養病床の1床当たりの収入は、一般病床の半分程度。
4割近かった空きベッドを有効活用し、収入増につなげるのがもう一つの狙いだ。
市は一般会計から毎年約2億円を病院に拠出しており、「存続をかけた挑戦」(安孫子室長)でもある。

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 吉村知事の2期目の公約には、10万人当たりの医師数221・5人(2010年)を全国平均(230・4人)以上にすることが明記されている。
現状は、山形市やその周辺に6割の医師が集中しており、他の地域との格差解消や病院勤務医の確保が急務となっている。

 最上地方北部の約2万人の医療を担う真室川町立真室川病院。
常勤医は5人と法定数を大きく下回り、80歳代の医師が働き続けて機能している状態だ。
赤字が続く天童市民病院でも、山本信治市長は市議会で「医師さえ来てくれれば収益が改善するのに」と嘆く。

 県は2010年、「山形方式・医師生涯サポートプログラム」を策定。
奨学金や研修体制などを充実させることで、医師を集める取り組みに乗り出したが、効果は未知数だ。

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 寒河江市立病院の療養病床新設は、11年に県が策定した「西村山地域の医療提供体制将来ビジョン」に基づいている。

 医師や看護師らを集中すべき急性期と、回復期や慢性期を担う病院とに役割分担を進めることで、地域全体の医療サービスを向上させるのが狙いだ。

山形大の村上正泰教授(医療政策学)は「一つの病院で様々な役割に対応するのは無理がある。
地域全体でそれぞれの病院の役割を検討すべきだ」と指摘する。

 山形大付属病院や県立中央病院などは、軽症患者が押し寄せ、本来の高度救急医療にしわ寄せが来ている。
県は地域医療のあり方を市民に考えてもらうため、医師らと本音で話し合う機会を2月に初めて設ける。医療サービスを受ける側も、意識改革が迫られている。


 〈療養病床〉

 比較的病状は安定しているが、長期療養が必要な患者が対象。配置すべき医療スタッフは、医師が入院患者48人に1人、看護職は同25人に1人などと、一般病床に比べて少ない。県内の療養病床数は1952床(2010年)。人口10万人当たり167床は全国最低レベルで、一般病床にも長期療養患者が入院しているのが現状。