大都市周辺を中心に14都府県の31地域で病院勤務医の不足が深刻化する一方、18道府県の21地域では勤務医が余る可能性が高い

2013.01.12

勤務医の偏り拡大 20年後 国際医療福祉大予測
2013年1月9日東京新聞


二十年余り後の二〇三五年には、大都市周辺を中心に十四都府県の三十一地域で病院勤務医の不足が深刻化する一方、十八道府県の二十一地域では勤務医が余る可能性が高いことが、国際医療福祉大大学院の高橋泰教授の調査で分かった。

少子高齢化の進行で人口構成が変動し、地域ごとの患者のニーズと病院の受け入れ能力との差が広がるためだ。


 調査では、複数の市区町村にまたがる「二次医療圏」(全国で三百四十九地域)ごとに、三五年までの人口構成の変化を反映させ、病院での医療が必要な人と勤務医の数を分析し、将来の過不足を独自に判定した。


 人口十万人当たりの勤務医数が百人を割り込み、十分な診療を続けるのが難しくなりそうなのは、大都市のベッドタウンに多い。
さいたま市や千葉県市川市、京都府木津川市などの三十一地域だ。


 現在でも勤務医が比較的少ない上に、高齢化が医療需要の増加に拍車をかける。
例えば東京都心で働き埼玉県や千葉県に住む人は、勤務先の近くで受診することが多いが、定年後は自宅近くの病院にかかるようになるからだ。


 逆に前橋市や島根県出雲市、高知市、長崎市のように、大学病院など医療機関が集中している二十一地域では勤務医が余りがちになる。

いずれもゼロ~七十四歳人口がかなり減少する見込みの地域。十万人当たりの勤務医数は現在でも百五十~三百人程度と手厚い上、病気のなり始めで症状の激しい「急性期」に対応する医療の必要度は人口減に伴い低下し、マンパワーに余裕ができる。


 一方で受診が頻繁な七十五歳以上の高齢者は全国的に増える見通し。
高橋教授は「勤務医の地域偏在を解消し、急性期中心の医療から地域密着型の医療に転換していくべきだ」と提言している。


 一〇年時点の勤務医数や将来の人口増減率、医療需要の予想数値などを用いて調査。
現在ある病院が存続する前提で、開業医数は考慮していない。


 (2次医療圏) 医療法に基づき各都道府県が設定する地域的な単位で、特殊な技術を除き、圏内で一般的な入院医療に対応できることを目指す。
人口規模や交通事情などで決められ、圏内にどれだけのベッド数が必要かを計算する時に基準となる。
多くの場合は複数の市区町村を一つにまとめて都道府県内を3~20程度に分けており、全国に349ある。
身近な医療を提供する市区町村ごとの「1次医療圏」、高度な先進的医療を提供し原則的に都道府県単位の「3次医療圏」もある。