社内保育所 地域に開放 補助拡大の条件に 政府、設置促す

2014.01.11

社内保育所 地域に開放
補助拡大の条件に 政府、設置促す(日本経済新聞1・11)


 政府は企業内保育所が増えるよう後押しする制度を2015年4月から導入する。
現在は5年限りの運営費補助を、定員の4分の1以上を地域住民に開放すれば、無期限の補助にするのが柱だ。保育所運営の安定が見込めるようにして企業の新設を促し、保育所に入れない待機児童の解消につなげる。社員だけでなく地域住民にとっても保育所の選択肢が増える。

企業が社内に設ける保育所は現在は認可外保育施設の扱いで、国・地方の公費補助の対象外だ。
労使の雇用保険料を財源とする助成はあるが、原則5年で打ち切られる。
コスト負担が重いため企業の導入率は約3%にとどまり、約1600カ所で頭打ちとなっている。

 15年度から市町村が認可する企業内保育所を対象に新たな公費補助を始める。
認可保育所に準じた職員配置や設備で、定員の3分の1~4分の1を地域住民に開放すれば、無期限で国と自治体から補助を受けられる。

 補助は運営費の6割程度と認可保育所に近い水準となる見込み。主に0~2歳の乳幼児を預かり職員配置を手厚くすれば、7割以上になる。
補助を長期的に受けられるうえ、補助率も大企業で5割が上限の現在より高くなる。

 複数の企業がコスト分担などを定めた協定書を交わせば、企業内保育所を共同で設置できる仕組みも入れる。経営体力の乏しい中小企業も保育所を設けやすくする狙いだ。
各市町村が条例を14年度中に定める。

 新制度で企業内保育所が増えれば、勤め先でなくても自分の住む街の企業内保育所に子どもを預けられるようになる。

 これまで企業が社内保育所の設置に慎重だった背景には「コスト負担に加え、将来も社内で十分な利用者を見込みにくい問題がある」(第一生命経済研究所の的場康子上席主任研究員)。新制度で企業のコスト負担を軽くすると同時に、地域住民に開放すれば利用者数が安定する。「企業が設置に前向きになる」(保育大手JPホールディングスの山口洋社長)との指摘は多い。

 自治体が認可保育所を新設するには土地・建物を取得し、保育士を確保するのに時間も費用もかかる。
企業が設ける保育所を地域住民も利用できるようになれば、待機児童をより早く減らせる。

 企業内保育所は女性の活用を目指す大手企業で徐々に普及。女性販売員が多いヤクルトグループのほか、資生堂や東日本旅客鉄道(JR東日本)、トヨタ自動車、みずほフィナンシャルグループなどの金融機関、商社などが所有する建物や工場敷地などに設けている。

 すでに社内保育所を持つ企業からは「新制度で支援対象が広がるのを期待する」(ヤクルト本社)という声が上がる。企業内保育所は運営を保育事業者に委託する場合も多く、事業者からは「積極的に取り組んでいきたい」(ニチイ学館)との期待感も高まる。