歯科医院でもポイント還元 患者集め?規制に二の足

2014.01.07

歯科医院でもポイント還元 患者集め?規制に二の足
2014年1月7日朝日新聞

 歯科医院で治療を受けると、商品券などと交換できるポイントがもらえるしくみが広がっている。

国民の医療費が、治療とは直接関係ない患者集めに使われている可能性がある。

患者にポイントを与えることで実質的な値引き競争につながり、全国で一律であるはずの医療の価格に差ができ、質の格差も生まれかねない。
厚生労働省も、対策を慎重に検討している。

 歯科ポイントのしくみは、東京都渋谷区の歯科コンサルタント会社が2006年から運営を始めた。
同社によると、全国約6万9千ある歯科医院のうち、加盟しているのは約400。
加盟医院で治療を受けた患者は、同社のウェブサイト上で治療や設備の満足度について6問のアンケートに答え、歯科医院の口コミを書き込むと、治療内容によって100円~1万円相当のポイントをもらえる。

 ポイントの付け方は、歯科医院に任せられているため、患者の勧誘に活用できる。

1回の治療で100ポイントをつける医院が多く、初診時や検診1回につき500ポイント、患者を紹介すると1千ポイントをもらえる医院もある。
500ポイントたまると1ポイント1円として、商品券や電子マネーに交換できる。

 「1万ポイント=1万3千円」などと、歯科医院は運営会社からポイントを事前に買い取る。
または患者が口コミをした後、例えば100ポイントにつき300円を支払う方法もある。
いずれも保険料や税金からなる診療報酬が使われているが、歯科医院は支払った金額を取り戻すために不必要な治療をして医療費の無駄につながる恐れが指摘されている。

 ポイントを導入する歯科医院が増えているのは、歯科同士の競争が激化しているためだ。
日本歯科医師会の瀬古口精良常務理事は「医療は非営利なので、(患者集めにつながるポイント制には)原則的には反対だが、時代の流れもあるので認めることも考えなければいけない」と話す。

 厚労省の省令では、公的医療保険を扱う医療機関は「値引きなど経済的な利益を提供して患者を集めてはいけない」としている。
同じ治療は、全国のどの保険医療機関でも同じ価格で提供するのが保険医療の原則で、患者集めは治療の質で競うべきだとされている。

 厚労省は民主党政権だった12年秋、やはり公的医療保険でまかなわれる処方薬で患者が自己負担分を支払う場合、ポイント制があるクレジットカードの使用を禁止しようとしたが、政権交代で立ち消えになった。

厚労省は「クレジット払いは1996年から認めていて定着しており、シャットアウトするのは難しい」(医療課)と説明する。そこで歯科ポイントも、値引きにつながる可能性はあるとしつつも、「すぐには判断できない」(同)と慎重な姿勢だ。(月舘彩子、関根慎一)