近江八幡市市議会議事録より

2014.01.06

◎近江八幡総合医療センター事業管理者(槙系 君) 病院事業会計に関するご質問にお答えいたします。(近江八幡市市議会議事録抜粋)
 

平成21年度以降、包括医療制度、DPCの導入や地域医療支援病院の取得、平成22年度からの診療報酬改定の追い風等もあり、経営状況は堅調に推移しています。

これからも、職員一人一人が感性豊かな職場づくりを目指しながら、急性期病院、地域医療支援病院として地域完結型医療提供体制の推進や安全・安心な医療サービスの提供に努めるとともに、健全な病院経営を行っていく必要があると考えています。
 
まず、平成24年度決算見込みについてお答えします。
 本年度の診療報酬改定は、救急、産科、小児科、外科等の急性期医療に手厚く、本体部分はプラス1.379%でした。薬価はマイナス1.375%で、全体としてはプラス0.004%の改定でした。本年度4月から1月までの入院患者数は1日平均365人で、前年度の実績356人より9人の増加、外来患者数は1日平均842人で、前年度の実績833人より9人の増加となっています。
 以上のことを踏まえまして、平成24年度決算は、入院収益で72億8,000万円余り、外来収益で27億6,000万円余りとなり、3年連続の黒字を見込んでいます。
 

続きまして、平成25年度予算についてお答えします。
 3条予算につきましては、医師の増員による患者数増や回復期リハビリテーション病床の一般病床化により、医業収益は前年度比6.1%増、病院事業収益全体では前年度比5.4%増を計上しています。
 4条予算のうち資本的支出は、研修と整備事業、総合医療情報システム更新事業等で前年度に比べ192.1%増、金額にして17億円余りの増を計上しています。
 

続きまして、平成25年度事業についてお答えします。
 研修と整備事業は、東近江医療圏地域医療再生計画に基づき、医師の確保、定着と医療の質の向上を図るため、鉄骨づくり2階建て、延べ面積約670平方メートルの研修施設と人体シミュレーター等の研修機材を整備するものです。

進捗状況としましては、設計の最終段階に入っており、建築工事は7月ごろから開始し、25年度末までの完成を予定しています。
 

次に、総合医療情報システム更新事業についてお答えします。
 総合医療情報システムは、現在院内で稼働している大小40以上のシステムの総称でありまして、現在のシステムは平成18年10月の新病院開院と同時に導入したもので、老朽化が進み、十分な保守ができない状況になりつつあります。

このままでは、信頼される医療、安全性が保証された質の高い医療の提供に支障を来すおそれがあるため、このたびシステムの更新を行うものです。
 

現在の進捗状況としましては、1月10日に企画提案方式による公募を実施し、2月26日に選定委員会を開催し、提案内容の審査を行いました。

3月4日に、選定委員会での結果について、契約審査会の承認を得て優先交渉権者を決定したところで、今後、内容等の細部の協議を行った後、契約締結し、平成26年1月のシステム稼働に向け取り組んでまいります。
 

次に、今後の病院事業に関するご質問にお答えいたします。
 現在の日本の医療政策の問題点は、必然的に医療費の増加を伴う世界に前例のない高齢者社会の到来を、それに到底見合わない財源でもっていかに乗り切るのかというところにあります。

それについては、財源確保だけではなく、医療、介護にかかわる人材確保についても同様のめどをつけていく必要があります。

自治体病院だけではなく、当今の病院を取り巻く厳しい経営環境の原因は、このような財源や人材不足を現場の努力だけでは解決できないというひずみから生じているとも言えます。
 医療政策全体を見据えた政治による下支えが必要です。

この数年は、急性期病院の充実を図るという視点から、診療報酬の改定では当院規模の病院にとっては追い風の傾向でした。

しかし、一方では7対1配置だけにとどまらないHCUやNICUの看護師配置の充実やチーム医療の推進に向けたコメディカルの増員などについて、診療報酬の改定を通じて既に現場の誘導が始まっています。
 
定数や待遇面の縛りがある公立病院では、窮屈な側面があり、比較的自由な裁量権を持つ日赤や済生会などの公的病院に水をあけられつつあります。
したがって、今後の病院経営については、いつまでも楽観視できない状況にあると言えます。
 

それ以上に、先行きが見えないこの現在の限られた医療提供体制で、今後の医療需要にどう応えていくのかが現場の痛切な課題です。
国は、この課題解決のために、急性期、慢性期、在宅医療につながるある意味では医療提供体制のライン化とも言える流れを推進しようとしています。
それは、各医療機関が今まで築いてきた医療連携のより効率的な運用を地域においてシステム化しようとするものです。
 しかしながら、今までの経過を見てみますと、現場に任せておくだけで自然に医療連携体制が構築されるとは思いません。

私どもも、急性期病院という位置づけからこの地域の完結型医療提供体制の構築に努めてきましたが、はっきり言っていまだ道は半ばです。

当院でも、本当の高度急性期医療を担おうとすると、医師、看護師を初め医療スタッフはまだまだ足りません。

ところが、当院以上に慢性期医療を担おうとする病院や診療所の医師は足らないのが現状です。

それに加えて、これからますます需要がふえるであろう訪問看護や介護部門も人材確保に困っています。すなわち、急性期病院の後方連携部分も極めて弱いのです。
 

この部分の体制強化が行われないと、当院の役割そのものが果たせなくなってしまいます。
今後は、地域完結型医療提供体制の構築維持のためには、医療福祉政策を実践するという観点から、行政の主体的な介入が必要です。

その意味においては、急性期病院と慢性期病院の連携だけではなく、急性期病院間での連携ということも必要になってきます。
 東近江総合医療センターが運営を開始した場合に、当院の事業に及ぼす影響については予測できませんが、競合関係ではなく、あくまでも、地域の急性期医療を守るためにも良好な補完関係を構築していきたいものです。