ノロウイルスによる感染性胃腸炎の集団感染が発生、高齢者6人が死亡した問題

2012.12.26

日南ノロ6人死亡 療養病院 担う重責 経営難、人手不足難しい感染判断「症状監視 徹底を」
2012.12.25 西日本新聞社 


 宮崎県日南市の医療法人春光会東病院(宮路重和理事長)でノロウイルスによる感染性胃腸炎の集団感染が発生、高齢者6人が死亡した問題は、医療関係者に衝撃を与えた。

感染力の非常に強いウイルスの予防対策は徹底消毒しかなく、特に抵抗力が弱く重症化しやすい高齢者を抱える地域医療の現場は「どこでも起こり得る」と悲鳴を上げている。

 23日に明らかになった今回の集団感染は、高齢者の集まる「療養病院」で起きた。

入院する全61人(12日現在)は要介護者。死亡した6人は寝たきりの78~88歳で、腹部の穴から胃へ直に栄養剤を送る「胃ろう」を付けていた。

寝たきり状態では胃から逆流しての嘔吐(おうと)や、下剤で排便を促すため下痢も珍しくなく、ノロウイルス感染との認識が遅れた。

 嘔吐物や便は大量のウイルスを含むため、密閉処理しての徹底消毒が必要。予防対策も重要で、宮崎県感染症対策室は今回の感染拡大の一因として、同病院の看護師が、患者1人に一日中同じエプロンを使い続けていたことを挙げた。

同県はおむつ交換などの一つの行為ごとに手袋やエプロンを使い捨てることなどを指導している。
だが、「紋切り型に指導するのは簡単だが、経費面などから難しい」と、宮崎市のある医師は明かす。

 そこには地方病院の置かれた厳しい状況がある。宮崎県議で医師でもある清山知憲氏は「県の指導通りの対策ができている病院がどれぐらいあるのか疑問。

地方病院は経営難、看護師不足にあえいでいる。行政は構造的な問題も考えてほしい」と指摘する。

 ただ、入院患者の感染阻止や予防対策の徹底が病院側に課された最大の責務であることは言うまでもない。

感染症の可能性があれば一つの行為ごとに看護師のエプロンを捨てるなど、可能な限り予防対策に取り組んでいる宮崎市のある病院院長は「消毒も徹底し、病状の変化を常に監視することが何よりも重要だ」と強調する。 (山田育代)