特集:地域医療人育成センターおかやま 医師数の偏在や不足解消へ 岡山大鹿田キャンパスに拠点

2012.12.15

特集:地域医療人育成センターおかやま 医師数の偏在や不足解消へ 岡山大鹿田キャンパスに拠点
2012.12.14毎日新聞 


 医師が岡山市など県南部の都市部に偏在する地域医療の“南北格差”が問題となっている。

こうした格差の解消を目指して、岡山大鹿田キャンパスに地域医療の拠点となる「地域医療人育成センターおかやま」が設立され、「地域医療人材育成講座」も開講されている。地域医療の課題について、同講座の片岡仁美教授(40)に聞いた。【石井尚】

 ◇「地域枠」学生らへの期待大

 ◇出産、子育てで休職…女性医師の復帰も支援

 地域による医師数の偏在や医師不足を解決するため、岡山大医学部は08年から、県と協力して「地域枠」の枠組みで学生を募集している。

県は、地域枠の学生7人に奨学金として毎月20万円を貸与し、その返済を免除する代わりに卒業後9年間、県内の医療機関で働くことが義務づけられる。

 地域枠で入学した学生は1年時から地域医療の現場で研修を受ける。片岡教授は「学生には、高度な医療技術だけではなく、患者としっかり向き合うプライマリーケアの大切さを学んでほしい」と説明する。

さらに、「学生を通じて、医療機関同士の連携を進めることにつながり、地域の医療が抱える課題を大学にフィードバックできる」と大学側のメリットもあるという。

 岡山大は、出産や子育てで休職した女性医師が職場に復帰する支援も続けている。
片岡教授は「高度な医療技術を必要とされる外科などの診療科で働いていた女性でも、出産後に現場に復帰するとき、『内科など総合的な医療の現場に転向したい』と希望する人もいる。これは、地域医療現場のニーズにも合致する」と話した。

 今年9月、岡山大鹿田キャンパスに設立された「地域医療人育成センターおかやま」は、採血や手術などをシミュレーションできる最新機器を備え、地域医療の現場で働く医師同士が相談し合う場としても活用される。
また復職を目指す女性医師のトレーニングの場として機能することも期待されている。

 地域枠で学生を採用する制度が成果を生むには長い時間がかかりそうだ。
しかし、片岡教授は「卒業生は県内で最大約70人が働くことになり、将来的には、それだけの医師を確保できることにつながる。女性の復職支援にも力を入れたい」と強調している。

 ◇“格差”対策と課題

 県は医師の確保やへき地と呼ばれる山間部や島での医療体制の充実を図るために、「県地域医療再生計画」を策定している。医師が少ない県北部だけでなく、県南部の備前市や笠岡市、井原市などでも、医師の確保の難しさや住民の医療機関へのアクセスの問題がある。

 県を5区域に分けた2次保健医療圏では、県南部は、県南東部、県南西部に2分される。
だが、南東部と南西部にはそれぞれ、医師数の充実した岡山市と倉敷市が組み込まれているため、医師数について問題はないと見過ごされがちだ。

 片岡教授は「県境の自治体では、他県との連携も取りにくいことも問題の一つとして挙げられる」と語り、今後の地域連携の拡大に向けた課題を指摘している。