◎争点を斬る 12・16衆院選(2)TPP 京都府医師会会長 森洋一氏

2012.12.11

◎争点を斬る 12・16衆院選(2)TPP 京都府医師会会長 森洋一氏
2012.12.09 京都新聞 


京都府医師会会長 森洋一氏


皆保険制度崩壊恐れ


 TPPについてどの政党も丁寧に説明していない。21分野もあり、それぞれ吟味もなくひとまとめに判断できる問題ではない。

 医療界が最も懸念するのは、世界に誇る日本の皆保険制度への影響だ。
交渉に参加しても皆保険制度を堅持し、米国は議題に挙げないから安心との説があるが、TPPを正しく認識していない。

 日本は薬価制度で同種の薬や治療材料を公定価格にして高騰を抑え、質のいい医療を平等に提供している。
一方、医薬品や医療機器の多くは米国企業が特許を持ち、米国内の販売価格を決めている。

 TPPでは米企業などが日本の薬価制度を不当な価格設定と訴える恐れがある。
薬価制度が崩れれば皆保険制度の根幹は揺らぐ。
市場原理導入で、日本の医療文化は崩壊する。

 自由貿易は関税障壁がなくなるからいい、という意見を聞く。
しかし、交渉参加国は11カ国で、TPP不参加で世界に取り残されるというのは誤りだ。
いったん締結したら後戻りできない条項があり、問題が生じても取り返しがつかない。

 各分野それぞれの問題点を把握して考えなければならないが、各政党の主張はどうか。
日本はどういう社会を目指すのか、という視点で見極めてほしい。


 もり・よういち 長岡京市内で小児科医院を開業。2006年から京都府医師会会長。在宅療養の支援体制づくりなど地域医療の充実に取り組む