地域医療再生の道筋を*留萌市立病院*不安定な経営続く*消費増税でさらに負担

2012.12.04

地域医療再生の道筋を*留萌市立病院*不安定な経営続く*消費増税でさらに負担
2012.12.01 北海道新聞

 【留萌】地域医療の疲弊が続く中、留萌市立病院は最大33億円にも上った巨額の累積赤字を昨年度で解消した。
民主党政権下の地方交付税増などが追い風になったとされるが、慢性的な医師不足などで経営は不安定なまま。
消費増税が経営を圧迫する可能性もある。4日公示の衆院選に向け、医療関係者は「今こそ各党が地域医療再生の道筋を示してほしい」と期待を込める。(衆院選取材班)

 「本年度は例年より入院患者が減って厳しい状況。最終的に黒字になるよう職員一丸となって努力したい」。市立病院の担当者は苦渋の表情を浮かべた。

 同病院は11年ぶりの単年度収支黒字化を達成した2010年度に続き、11年度も黒字を記録したが、本年度は微妙という。

 同病院は医師不足に伴う患者数の減少などで、07年度決算の累積赤字が約27億円に拡大、市の総赤字額の9割を占めた。
夕張市と同様、国の管理下に置かれる「財政再生団体」に転落する懸念も生じたため、市は職員給与カットや市民サービスの削減などに取り組む財政健全化計画(09~15年度)を策定した。

 病院の累積赤字額は08年度末に約33億円まで膨らむが、その後は市の一般会計からの繰入金増額や、一定数の医師確保に伴う患者数増加などが相まって、昨年度で赤字解消を達成した。

 「民主党政権になって、地方交付税や診療報酬が増額されたことが大きかった」。市幹部はそう断言する。

 01年に始まった自民党の小泉政権下では構造改革路線の一環として、国が地方自治体に配分する地方交付税や、診療報酬が減額された。
だが09年に政権交代した民主党は「地方再生」を掲げ、交付税を増額。市財政にゆとりが生まれたことが、この3年間で病院事業会計への約15億円の支援を可能にした。

 公的医療保険から病院などに支払われる診療報酬も02年度以降、減額改定が続いていたが、10年度には10年ぶりのプラス改定が実現。本年度もわずかながら増額となった。

 ただ、慢性的な医師不足や看護師不足という悩みは続き、患者数など不安定要素に経営が左右される状況は変わらない。

 さらに消費税増税が追い打ちをかけそうだ。
医療機関は医薬品購入などの経費に課税される一方、収入にあたる診療報酬は非課税で病院の負担増につながる。
同病院は、負担額を消費税が8%で5500万円、10%で9200万円と試算している。

 4日の公示に向け、衆院選道10区(留萌、空知管内)の出馬予定者の舌戦も加熱しているが、話題の中心は環太平洋連携協定(TPP)や原発問題。市立病院の幹部はぼやく。「地域医療の置かれた状況を抜本的に見直さなければ、やせ細っていくばかりなのに、各党の医療政策の方向性が見えない」。