和泉市立病院のあり方について

2012.12.01

 

和泉市立病院のあり方について

答 申 書
平成24年11月22日
和泉市立病院あり方検討委員会

1 はじめに

和泉市立病院(以下、市立病院)は、約半世紀にわたり、和泉市の地域医療に尽力してきた。
しかしながら、医師不足などの影響を受け、平成19年度に経常赤字約16億円、不良債務(資金不足)約20億円という経営危機に陥り、

平成20年度に「和泉市立病院経営健全化実施計画(以下、健全化計画)」を策定し、全職員を挙げて病院の再建に取り組んでいるところである。

こうした医療職の努力にも関わらず、現在も、二次救急の機能停止、施設の老朽化・非耐震性、さらに慢性的な赤字経営とそれを補完する市財政からの巨額の財政支援などの課題を抱えている。

これらは、医療・施設・経営に及ぶ病院経営の根幹をなす課題であり、しかも相互に関連する複合的なものであって、健全化計画をもってしても解決しがたい。

本委員会は、市立病院そのものの必要性は認識した上で、医師の動向など病院経営を巡る環境変化を踏まえつつ、将来を見通し、市民のためにいかなる病院を目指すのかという大局に立って、議論を重ねてきた。


2.市立病院の役割

(1)公立病院としての役割

総務省公立病院改革ガイドラインでは、公と民が分担して地域医療を確保することを目的に、「公立病院の役割は民間が提供困難な医療を提供すること」とし、救急医療や高度医療、先進医療が例示されている。

また、大阪府策定の「大阪府保健医療計画」では、保健・医療・福祉の連携によるサービス体制の確立が目的の一つとし、二次医療圏単位で4疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病)4事業(救急医療、周産
期医療、小児医療、災害医療)への対応の構築が要請されている。
市立病院は、今後もこれらの方向性を十分に踏まえて、救急医療をはじめとする公立病院としての役割を担っていかなければならない。


(2)医療の質の向上と健全経営

医療の質の向上と健全経営は、病院経営の両輪である。

医療の質を向上させるには医師の確保が不可欠である。
医師は、自らのスキルアップにつながる病院に集まる傾向がある。もはやこれまでの大学医局への派遣要請だけでは医師確保には限界があり、臨床研修プロ
グラムの充実をはじめとして、市立病院そのものが医師を引き付ける魅力ある病院に変わらなければならない。
すなわち、医療の質の向上が市民の信頼を増幅し、医療の質の高さへのあくなき追求が医師から選択される病院となる道であり、その結果として病院経営の改善が図れるということを再認識すべきである。


3 市立病院の課題

健全化計画の策定に先駆けて平成19年に、和泉市在住18歳以上の3,000名を対象に市民アンケートを実施したところ、経営努力を継続することを前提に病院運営の存続を望む意見が全体の約78%を占めて
いた。
また、今後改善して欲しい点としては、「いつでも診てくれる診察」「どんな病気でも診てくれる診察」といった夜間を含めた一般救急への対応や小児医療の充実に関する意見とともに専門性を求める意見も多いという結果であった。


(1)医療の課題

市立病院では、一般診療をベースとしつつ、小児医療の充実や心臓血管センター、人工関節センター、発達障害サポートセンター、子どもメタボリック支援センター、肝臓病センター、がんセンターの開設を行っ
てきたところである。
とりわけ、平成22年に開設したがんセンターで
は緩和ケアを実施しており、平成23年には大阪府ん拠点病院の指定
を受け、市立病院の特色の一つとなっている。
また、こうした取組などにより、病床利用率も改善傾向である。
しかし一方で、医師の減少を契機に、平成18年度に内科、平成19年度に外科系の救急告示を取り下げて、二次救急は機能停止しており、今なお、再開の目途はたっていない。
このため、救急搬送は一変し、市外搬送が平成16年度の約2割から約5割に急増し、市内搬送も民間病
院に依存している。市立病院が二次救急医療を行っていないことは、公立病院としての役割を果たしているとは言い難い。

もちろん、救急は病院のすべてではないが、政策医療の最たるものであり、欠くことのできない公立病院の使命であることは議論の余地のないところである。今後のあり方を考えるにあたって、救急医療体制の再
構築が重要な課題のひとつであると認識しなければならない。