士別市立病院 心臓カテーテル検査再開*住民の期待大 入院急増*近隣患者も続々/緊急治療も対応*増収で経営改善へ  

2012.12.08

 

士別市立病院 心臓カテーテル検査再開*住民の期待大 入院急増*近隣患者も続々/緊急治療も対応*増収で経営改善へ
 
2012.12.07 北海道新聞 


 士別市立病院(山田政孝院長)は10月から、心臓カテーテル検査を4年3カ月ぶりに行っている。長年の経営難によって各科の機能縮小が進んでいたものの、常勤医らの地域医療への熱意が再開の決め手となった。
心血管など循環器系の疾患を抱える地元住民や病院関係者の期待は高い。(士別支局 木村直人)

 「やっぱり近くで治せたら安心。ありがたいよ」。約1時間半のカテーテル治療を終えた剣淵町の70代男性は、主治医の長島仁医師(52)の横で安心した表情を見せた。

 心臓カテーテル検査は、血管内に医療用の細い管(カテーテル)を挿入する検査法。
その後の治療の進め方、手術の可否を決める最終診断にも有効だ。

 同院では、2008年7月から循環器系の常勤医が不在となり検査を休止
。約1300万円を費やし、05年に導入したエックス線診断装置は「宝の持ち腐れ」(同院幹部)となっており、患者は名寄総合病院や旭川市の医療機関などを受診せざるを得なかった。

 転機は今年8月。今春から非常勤で勤務していた長島医師が正式に着任し、循環器内科の入院診療を約4年ぶりに再開。
9月には町立八雲総合病院(渡島管内八雲町)時代の同僚である沼崎太医師(39)も同科に着任し、常勤医2人体制になったことで検査再開に踏み切った。

 11年春ごろからの山田院長や牧野勇司市長らの熱望に応じ、士別に着任した長島医師は「土地が広大な北海道は距離的なハンディもあり、地方の医療環境は厳しい。札幌なら5キロ以内に、カテーテルができる病院はいくつもある」と強調する。

 再開後、循環器内科の入院診療件数は8~10月で延べ919件。
1日平均に換算すると約10人になる。8月は134件だったものの、10月には507件と4倍近くに急増。士別市民をはじめ、通院先を変更する近隣自治体の患者が多いという。

 心臓カテーテルの診療件数は12月4日時点で46件。
このうち急性心臓病など2件を緊急治療するなど、素早い処置も可能になった。

 診療再開で経営面での好影響も期待されている。
市は08年に7カ年での「経営改革プラン」を策定し、経営改善に取り組んでいるものの毎年、多額の経費を一般会計から繰り出しているのが現状。

 専門的な診療が必要な心臓カテーテルは、機器や資材が高額なため、診療報酬も高め。
同院の吉田博之事務局長は「経営改善の一助としても期待しているのは確か」と明かす。実際に循環器内科の診療再開後は「1カ月当たり1千万円近く、増収しているのではないか」(同院幹部)とみられる。

 市は昨年4月、道内自治体で2例目の「開業医誘致条例」を制定するなど、地元の医療環境を充実させようと機運を高めている。

 副院長にも就任した長島医師には、多方面からの期待が掛かるが「どこに住んでいても医療を受ける権利は平等にある。
経営面に対するスタッフの意識も高いし、地元の方々に『市立病院なら安心だね』と言ってもらえるような病院を目指す」と力を込めている。