検証・天童市の現状と改題(下) 新築後も赤字の市民病院 進まない、医師確保

2012.11.23

 検証・天童市の現状と改題(下) 新築後も赤字の市民病院 進まない、医師確保
2012.11.16 山形新聞 


 2008年4月1日、当時築25年余りの旧施設を取り壊し、新たな天童市民病院がオープンした。
真新しい建物に、最新の医療機器。
誰もが長年の懸案だった赤字解消の期待を胸に抱いたが、目覚ましい改善の兆しがないまま現在に至っている。

 病院の経常損失は、2005年度に1億7197万円となって以降7年連続で1億円を超え、11年度は1億4648万円。
赤字額は膨らむ一方で、医業収益はほぼ横ばいが続く。累積赤字は、11年度で25億9164万円となった。

 外的要因として、診療報酬引き下げなどの国の制度改正や、県立中央病院が近隣地域で移転開業したことなどが挙げられる。
さらに、接遇・サービス面の不備といった内的要因も絡む。

■起爆剤模索

 状況打破をもくろみ、10年度からは地方公営企業法を全部適用し、独自に予算編成するなど経営改善の加速化を狙った。
だが、続く足踏み状態。病院の経営改善問題に取り組む茂木孝雄市議は「現状では著しい改善は望めないというのが大方の声。
カンフル剤となる大胆な施策が必要」と指摘する。ただ、最新機器を導入した新築移転が“カンフル剤”となっていない中、それを超える起爆剤が何なのか、暗中模索は続く。

 現行の医療制度下では、病院の生き残りはサービスなど内的要因の改善による医業収益向上が大きな鍵を握るとされる。
サービス向上のポイントとなるのは医師不足の解消だが、現在は7診療科のうち、常勤医師は6人で、外部からの派遣に頼る脳神経外科、皮膚科、整形外科は週1~2回の診療となる。

 夜間は山形大から応援を得ているものの、常勤医師の当直頻度は週1~2回。
外来だけでなく病棟業務、救急をこなしながらの勤務は疲労の蓄積につながり、患者への対応悪化、評判の低下―と、悪循環が避けられない。
救急患者で重病の場合は、専門分野の関係などから搬送段階で他自治体の病院に回るときがあり、「近くですぐに診てほしい」という市民ニーズに十分応えられないケースもある。

 医師確保が進まぬ実態について、同病院の柏谷忍事務局長は「若い医師は、症例が多く、より専門性の高い病院に行く傾向がある。
山形大の医局の医師そのものも少なくなっている」と語る。
県外からも含め医師確保を図るため、人材派遣会社への登録をはじめ、給与や手当の割り増しといった待遇改善、ホームページの開設を行ったが、新たな医師確保には結び付いていない。

■公立の役割

 市議の多くが「市民から十分な信頼を得ていないことが、受診者が伸び悩む要因になっている」と分析する一方で、「市は『子育て日本一』を掲げており、産婦人科や小児科などの分野に特化するのも方策の一つ」との指摘もある。

 「『公立』として、市民が喜び、ニーズを満たすのであれば多少の赤字は構わないと思う」と茂木市議。公立病院の果たすべき役割と自治体の財政状況とのバランスの中で、持続可能な病院経営の在るべき姿は何か。新たな道筋を示す時期が来ている。