新生県民医療の拠点中央病院開院から1カ月(6) メディカルゾーン・下

2012.11.17

 

新生県民医療の拠点中央病院開院から1カ月(6) メディカルゾーン・下
2012.11.16徳島新聞  


徳島県立中央病院(徳島市蔵本町1)と、隣接する徳島大学病院の機能を一体化し、高度専門医療や人材育成の拠点とする総合メディカルゾーン(MZ)構想。全国でも例がない取り組みを実現させるには、互いの医師を自由に派遣して手術や治療ができるように法令の障壁を取り除かなければならない。

特区「渡りに舟」

「まさに渡りに舟だった」。中央病院の改築を控えた2010年6月、国が地域活性化総合特区制度の創設を発表。総合MZ構想に携わる県幹部はこのときの心境をこう振り返る。

総合特区は地域特性を生かして活性化を図るのが目的で、特区の指定を受けると特定の規制緩和が認められる。財政や税制面での支援措置を伴う点が従来の構造改革特区と異なる。

県は、総合MZ構想を柱に据えた「先導的な地域医療の活性化」を総合特区に認定するよう国に申請。昨年12月の第1次指定では選に漏れたものの、再申請し今年7月に指定を受けた。厚生労働省との間で現在、具体的な取り組みについて協議を重ねている。

県や徳大病院が特区で目指す規制緩和は、医師の相互派遣だけではない。中央病院が改築に合わせて導入したがん診断機器「PET-CT」に使う検査薬を、徳大病院から融通できる緩和措置も視野に入れている。

既にPET機器を持つ徳大病院は検査薬を院内で独自に製造している。だが中央病院は院内製造のノウハウも設備もないため、岡山県のメーカーからの購入を余儀なくされている。

徳大病院から検査薬を譲り受けるのが最も効率的だが、徳大病院が中央病院に医薬品を提供するには、薬事法に基づく資格の取得が必要になる。さらにPET検査薬は放射性の医薬のため、障害防止法の基準もクリアしなければならず、手続きや承認に相当の手間と時間を要する。

「100メートル先に必要なものがあるのに、90キロも離れた会社から取り寄せないといけない。その分のコストも含め、むだを省きたい」と県病院局。総合特区の指定を機に、こうした法令上の壁を取り払い、総合MZ構想を進展させる意向だ。

ハードルは高く

ただ、特区指定を受けたからといって、あらゆる規制が撤廃されるわけではない。総合MZはあくまで全体構想が指定を受けたにすぎず、個別項目は事業計画としてまとめ、関係省庁の認定を受けるというプロセスを踏まなければならない。

総合特区の窓口となっている内閣官房地域活性化統合事務局は「特区指定を受けても(医薬品の融通など)安全性にかかわることは慎重に審査する必要がある」とする。

統合事務局によると、1次指定を受けた33地域が求めている約350項目のうち、これまでに実現の見通しが立ったのは215項目。ほかは別手法の検討や断念を強いられている。

この数字は今月7日、総合MZの関係者でつくる協議会の席でも報告された。県は「ハードルは思った以上に高い。ただ特区指定を受けた以上、何とか実現させたい」とし、事業計画を早ければ1月末に提出する方針だ。3月にも決まる認定の可否は、総合MZ構想がスムーズに進むかどうかの試金石となる。