合戦地の未来は 関ケ原町長選を前に (上) 医療 病院の医師不足克服課題

2012.11.17

 

合戦地の未来は 関ケ原町長選を前に (上) 医療 病院の医師不足克服課
2012.11.16 朝刊 16頁 西濃版 (全998字) 


 【岐阜県】関ケ原町長選が二十日、告示される。全国に名高い古戦場跡地を擁する交通の要衝の町は、厳しい財政状況の下でどういう方向を目指すのか。新たなかじ取り役の誕生を前に、町の課題を探った。(秋田佐和子)

 「関ケ原町民としては町内の病院に行ったほうがいいんだろうけどね。ずっと診てもらってるお医者さんが大垣にいるから」。二十年前に脳梗塞で倒れたことのある六十一歳の男性は、同町関ケ原の自宅から定期的に大垣市の病院に通う。

 町で唯一の総合病院は、町営の国保関ケ原病院。一九五〇年に開設された歴史ある病院が今、医師不足と経営難にさらされている。

 常勤の医師は内科、外科、整形外科、歯科の計八人。この十年で十人減って半分以下になった。非常勤の医師十数人の力も借りて二十の診療科を切り回すが、もともとある二十二科のうち小児科と泌尿器科は休診中。医師らは休み返上で地域医療を守ろうと懸命だが、人員不足は否めない。

 医師減少に拍車をかけたのは、二〇〇四年四月にスタートした臨床研修制度。医師の卵が自分の研修先を自由に選べるようになり、大学の医局とのつながりで地方の病院にやってきていた研修医が来なくなったのだ。

 医師の減少とともに患者数も激減した。一一年度の一日平均の患者数は、外来で前年度比十三人減の二百三十五人、入院で六人減の百三人。年間の外来患者数は六万九千人で、十年前と比べると半分強だ。

 経営の悪化で町の一般会計や国の交付金からの繰り入れは年々増え、一一年度は三億八千八百万円に。累積赤字は十二億四千六百万円に達した。

 負のサイクルを断ち切ろうと、町は昨年九月に経営健全化計画を策定。今年二月には病棟を一つ閉鎖し、ベッド数を削減した。浅井健太郎町長は三月定例会で経営改善に向け「関ケ原病院の独立行政法人化を考えている」と明言した。

 独立行政法人にすれば、議会の議決なしに柔軟な経営を進めることが可能になる。独自の給与体系を取り入れて医師の給与を上げ、まずは医師を確保することでかっちりとした診療体制を整えよう-との考えだが、本格的な検討は次の町長の手に委ねられる。

 町内の六十五歳以上の高齢者の比率は30%を超え、今後、病院の需要はますます高まる。血圧の薬を処方してもらうために月一回程度、関ケ原病院を利用する同町松尾の男性(75)は言う。「今はまだ健康だから大丈夫だけど、何があってもすぐ駆け込める環境はあってほしい」