東北再生 あすへの針路/座談会「地域医療-震災後の新たなモデルを目指し て」

2012.11.16

 

東北再生 あすへの針路/座談会「地域医療-震災後の新たなモデルを目指し
て」
(下)
2012.10.30 河北新報 


東北再生 あすへの針路/座談会「地域医療-震災後の新たなモデルを目指して」(下)

◎座談会出席者

元総務相・前岩手県知事  増田寛也氏

元東北大医学部長     久道茂氏

東大医科学研究所特任教授 上昌広氏

<コーディネーター>

河北新報社社長      一力雅彦


◎久道氏 複数科勤務、義務付けも

 -医学部新設の動きは民主党が政権交代を果たした09年の総選挙で、マニフェスト(政権公約)に医師養成数を1.5倍に増やすと掲げたのが発端。
今後、運動論をどう展開するべきか。

 久道氏 「地域医療を担う使命」。
これを医学部新設の条件にするのがいい。仙台厚生病院と東北福祉大の構想には、卒業後に地域医療への従事を義務付ける奨学金など具体的な方策が組み込まれており、医学部新設の申請があれば許可を出してほしい。

 全国の自治体病院の約7割は赤字で、最大の原因は医師不足にある。
東北に医学部を新設しても卒業生が一人前になるまでに10年近くかかる。
それまでに、例えば宮城県内の自治体病院を一つの地方独立行政法人に統合し、調達コストの削減や人事の迅速化を図る手法もある。

診療科偏在は、外科志望の医師には麻酔科や産婦人科、内科志望には精神科や小児科に何年間か勤務を義務付けるなどすれば、ある程度解消できる。

 増田氏 情報通信技術(ICT)を活用し、患者情報の共有を図れば災害時だけでない医療の質向上につながる。
遠隔医療にはコストなどの問題はあるが、医師の負担を軽減できるメリットもある。
新設医学部と地域の病院の連携を深め、これからの地域医療の在り方を被災地から全国に発信できるといい。

 上氏 新設医学部と東北大は自立、分散、協調の原則に立ち、連携を図りながら切磋琢磨(せっさたくま)するライバルの関係となるのが望ましい。
新設実現に一番重要なのは世論だ。復興は人づくりから。子孫への投資である教育こそ真の復興につながると訴えるべきだ。

◎医学部入学定員をめぐる動き

1973年 「無医大県解消構想」を閣議決定

  81年 琉球大医学部が学生受け入れ開始(最後の医学部新設)

      入学定員が8280人に(84年まで)

  82年 医師数の抑制策を閣議決定

  97年 医学部の整理・合理化を含む入学定員削減を閣議決定

2003年 入学定員が7625人と最少規模に(07年まで)

  08年 入学定員の増員を閣議決定

  10年 「今後の医学部入学定員の在り方等に関する検討会」設置

  11年 東日本大震災

  12年 入学定員8991人

      全国市長会が医学部新設を決議

<ひさみち・しげる>1939年、宮城県涌谷町生まれ。東北大医学部卒。81年同教授に就任、95年から2001年まで医学部長。07年から宮城県対がん協会長。専門は公衆衛生学。73歳。