伊賀市市長選・・市民病院の再生急務

2012.11.05

 

(明日への選択 2012伊賀市長選:下)市民病院の再生急務 /三重県
2012.11.03 朝日新聞 

・・・・・・・・・・・  昨夏には東京の京セラグループのコンサルティング会社と業務委託契約を結び、経営改善に乗り出した。
同社は「病院原価管理手法」で知られる。
ただ、経費を絞り、収益性を高めても、肝心の医師がいなければ利益につながらない・・・・・・


 累積の赤字が31億円にまでふくれあがった上野総合市民病院。
昨年度、伊賀市は貸付金を含めて過去最大となる約14億5千万円を投入した。
「このまま赤字が続けば市の財政が非常に厳しい状況になる」(市財政課)という深刻な事態だ。

 2005年度は常勤医師が24人いた。
外来患者は約14万3千人、入院患者は約7万人で収支は約1億7千万円の黒字だった。
しかし06年度に常勤医が3人減り、21人になった影響で約1億8千万円の赤字に転落。
常勤医は減り続け、11年度末には13人に。同年7月から半年間にわたって常勤の内科医がゼロとなり、外来患者は約5万6千人、入院患者は約2万4千人にまで落ち込んだ。

 病院収支も落ち込み、昨年度は約14億5千万円が不足し、急きょ市が支援した。
市の自由に使える貯金「財政調整基金」は今年9月現在で約47億円あるが「すべてを病院に回すわけにはいかない」と市財政課は頭を抱える。


 ●経営改善へ対策

 病院自体も新たな対策を取り始めている。
昨年1月、三木誓雄院長が新たに就任し、がん治療を特色とする病院を目指して動き始めた。

 昨年4月には「がんサポート・免疫栄養療法センター」を開設し、東京の専門病院での外科医研修も始めた。
今年9月には医療関係者を招き、地域医療のあり方を考える「伊賀塾」を開催した。

 昨夏には東京の京セラグループのコンサルティング会社と業務委託契約を結び、経営改善に乗り出した。

 同社は「病院原価管理手法」で知られる
。診療科や病院棟ごとにグループをつくり、時間あたりどれくらいの利益が出ているかを計算。
毎月目標を立てて、収益アップにつなげるという方法だ。近隣では公立甲賀病院(滋賀県甲賀市)が09年11月から契約し、実績をあげている。

 ただ、経費を絞り、収益性を高めても、肝心の医師がいなければ利益につながらない。

 現在、上野総合市民病院の常勤医は14人だが、非常勤医師は昨年の四十数人から、約50人に増加。
外科手術件数は10年度は195件だったのが11年度には292件に増え、今年度は350件を見込む。

 三木院長は「常勤医は過去最多だった27人を上回るのが目標だ。魅力を高めて医師を呼び込み、病院の自立をめざす」と話すが、今年度も病院経営は厳しく、数億円規模の市の財政支援が必要となりそうだ。


 ●医師確保が課題

 病院をどう再生させていくのか。新しく選ばれるリーダーの責任は重大だ。立候補を予定している2氏はどう考えるのか。

 元関西テレビアナウンサーの岡本栄氏は「地域の医師会に協力を呼びかけ、地元に約60ある開業医に救急医療体制に入ってもらって急場をしのぐ。
その次に医師を増やしていく。伊賀地域の3病院をどうするのか、議論する。統合するかどうかという話も出るだろう」と話す。

 元市企画総務部長の赤澤行宏氏は「内科医がいなければ救急体制は崩壊するので、内科医を新たに3人確保する。このまま放置しておくと毎年数億円の赤字を垂れ流すので、完全な公営企業か独立行政法人にする。トップが権限をもち、経営していく体制に変える」と話す。(保田達哉)