インタビューしずおか・・今村正敏さん 徳洲会に経営交代、立て直し策は

2012.10.26

 

(インタビューしずおか)今村正敏さん 徳洲会に経営交代、立て直し策は /静岡県 
2012.10.24朝日新聞   


 榛原総合病院新院長 家庭医研修を医師不足対策に 


 牧之原市と吉田町が運営した榛原総合病院が医師不足に陥り、徳洲会グループに経営が代わって2年半がたつ。8月に神奈川県の茅ケ崎徳洲会総合病院副院長から異動した今村正敏新院長に、立て直し策を聞いた。 


 ――院長を引き受けた理由は 

 公営時代から運営責任者だった茂庭将彦院長が医療法人徳洲会グループ(徳田虎雄理事長)に移行後も引き続き院長として頑張っておられた。しかし、医師は減り続け立て直しに苦労されていました。私は地域医療に関心があり、徳田理事長に急に異動を命じられました。この病院で家庭医療を実践し、医師不足を解決しようと引き受けました。 

 ――病院の印象はどうですか 

 何とかしてこの病院を守りたいという地元の人たち、西原茂樹・牧之原市長、田村典彦・吉田町長、市、町議会の熱意をすごく感じました。特に看護師からは、地元で育った自分たちが地域医療を支えようと頑張る意欲が伝わってきます。地域の需要があって病院がある。とてもやりがいがあります。 

 ――どう経営を改善? 

 経営は診療の結果です。公営時代は医師が少なくなって診療ができず、経営が悪化しました。医療のアクティビティー(活動)を高め、結果的に経営を改善させたいと思っています。指定管理に移行する前は入院患者のピークが400人でしたが、今は半減。引き継いだ時より常勤医が5人減り、医師不足が解消できていません。 

 徳洲会グループには医師が約2千人もいますから、いざとなれば集まりますが、それぞれの病院にも事情があります。徳洲会が支援してくれますが、病院として自立しなければいけないと思います。辞令一つで医師がやってきても本当の力にならない。やりがいがある病院にしないと優秀な医師は集まりません。 

 ――全国から静岡空港を使って応援に来ますね 

 8月だけで非常勤医師45人が応援に来ました。延べ150日ですから、1人平均3~4日の勤務です。沖縄便、札幌便があり、常勤医がいない小児科の先生が来てくれて助かります。 

 ――家庭医療センターの構想とは 

 日本は外科や内科などの専門医が主流ですが、家庭医とはへき地などで少人数で診療し、小児科も産科も麻酔科も救急科も担い、オールラウンドで患者と向き合う医師のことです。 

 ――医師不足にどう対応しますか 

 来年4月から徳洲会家庭医療プログラムとして、3年間の後期研修をこの病院で受けられるようにしたい。徳洲会には全国で年間、新人医師が120人近く入ります。その約10%が家庭医として働いてもらい、そのうちの何人かがこの病院で研修を積み、一緒に働いてもらうのが我々の希望です。研修後、ここで地域医療の指導者になってほしいですね。(竹田和敏) 

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 いまむらまさとし 65歳 兵庫県生まれ。1969年大阪大理学部物理学科卒業後、75年奈良県立医科大を卒業した。81年野崎徳洲会病院に入り、名古屋、札幌東、茅ケ崎の徳洲会病院副院長をへて、8月から現職。専門は産婦人科、救急医学、麻酔科。 


 <榛原総合病院> 2004年度に臨床研修医制度が変わり、大学病院から派遣された医師の引き揚げで医師不足となり、経営を牧之原市と吉田町が支えられなくなった。徳洲会グループが10年3月に経営を引き継いだ時、18人だった常勤医師を25人に増員。現在は20人となっている。