公立病院建築の設計施工急増/業界、歓迎も工期競争懸念

2012.10.26

公立病院建築の設計施工急増/業界、歓迎も工期競争懸念 
2012.10.23 建設通信新聞   


【PFIから切り替え例も/背景に臨時特例交付金】 

 公立の病院建築工事が急増している。 

その背景には2013年度末までに着工すれば国の臨時特例交付金が受けられることがあるが、時間的な制約からか、設計・施工一括(デザインビルド=DB)http://www.tulip.sannet.ne.jp/ken-abe/rondan-009.htmlによる総合評価方式が急速に広まっている。 

基本設計は設計事務所、実施設計・施工はゼネコンというケースが多いが、設計事務所・ゼネコンのJVによる基本設計からのDBも見られる。 

病院建築工事の入札では極端な価格競争が激化していたが、このDB普及が歯止めになるのか。 
発注者側が工期短縮を望むところから新たな工期競争を招くという声もある。 

 病院建築でのDB方式の発注は、07年ごろから始まり、2年前から広まっていたが、ことしに入り急増している。 

年内にDB方式の入札手続きに入ったのは、 
放射線医学総合研究所(千葉市)の新研修棟施設整備工事、 
藤沢市民病院再整備事業、 
新小山市民病院建設事業(栃木県小山市)、 
大阪府立病院病院機構の府立母子保健総合医療センター手術室棟増築、 
東北大医学部3号館改修、 
八幡浜総合病院改築事業(愛媛県八幡浜市)、 
新潟市民病院新病棟建設事業、 
新山陽小野田市民病院建設事業(山口県)、 
加古川総合保健センター(兵庫県)の加古川駅北健康増進施設整備事業、 
公立小野町地方綜合病院建設事業(福島県)、 
石川県加賀市の統合新病院建設事業などで、病院建築の入札方式の主流になっている。 

 今後の計画でも、志木市民病院建て替え、西宮市立中央病院建て替え、いわき市の市立総合磐城共立病院建設などがDB方式を視野に入れて発注準備を進めている。 
西宮市ではPFI方式で検討してきたが、DB方式への方向転換に傾きつつある。 

 このような公共病院事業での潮流に対し、日本建設業連合会建築本部では「設計・施工一貫方式を推進してきた立場から歓迎」(大久保和夫専務理事)としている。 

「最も望ましいのは、調査・企画からの設計・施工一貫だが、実施設計以降であっても、総合建設業の生産設計力、技術力の活用が可能になる。 
課題は、基本設計との情報がきちんとつながり、手戻りが起きないこと」とも指摘する。 

 こうしたDB方式の普及には、地域医療再生計画に盛り込まれた病院整備事業では、13年度末着工のものに対し、国の臨時特例交付金が受け入れられるという資金的な事情があるようだ。このため、DB方式は、早期着工に向け実施設計を急ぐための手法として着目されている面がある。 

 かねてから、病院建築工事はゼネコン各社が力を入れている分野で、独特の技術力を求められながら、価格競争にしのぎを削ってきた。 

DB方式が、本来の技術評価で優劣を決めるなら問題はないが、「DBでも、下限規制がなければダンピング(過度な安値受注)で決まる」(業界関係者)という声もある。またDBが早期着工を狙いとしているので、「発注者の要請に応えるため、無理に工期短縮の提案をせざるを得ない」(同)ともいう。 
また支店だけで対応しきれず、本社設計部との連携が必要で、応札コストが過剰になるという問題も出ている。 

 このようなマイナス面を改善し、新たな契約方式として普及させることが建設業界の課題となっている。