広島市立4病院を独法化へ(中国新聞)

2012.09.01

 

 

広島市立4病院を独法化へ(中国新聞) 

 広島市は27日、市立5病院の経営改善に向けた検討委員会を中区の市民病院で開いた。 
安芸市民病院(安芸区)を除く4病院を、市の直営から地方独立行政法人の運営に移行する方針を盛り込んだ中間報告をまとめた。 

 全国自治体病院協議会副会長の中川正久委員長たち委員10人が出席した。独法化する4病院は市民病院▽安佐市民病院(安佐北区)▽舟入病院(中区)▽市総合リハビリテーションセンター(安佐南区)。安芸市民病院は市医師会が2015年度まで指定管理者になっており、期間終了に合わせて方針を決める。 

 事務局の市が示した中間報告案は「病院が相互に連携し、医療機能を補完するべきだ」と強調。病院ごとに運営するよりも、一つの病院群の方が効率的―などとした。 

 委員は、中間報告案の基本方針を了承。病院間の連携の在り方や独法化の移行時期などを詰め、11月下旬に最終報告をまとめる。 

 市によると、全国20の政令指定都市で市立病院を独法化したのは4市。独法化すると、職員定数などに縛られず医師、看護師を採用でき、給与形態を柔軟に設定できるという。 

 

Ⅰ 検討委員会での検討内容等について 
1 検討趣旨 - なぜ検討するのか 

⑴ 市立病院では、救急医療や周産期医療、小児医療など市民生活に不可欠な医療の提供や、がん、脳卒中、急性心筋梗塞などの治療を中心とした高度で先進的な医療の提供に積極的に取り組んでいます。 
また、特化した機能を持つ病院や、地域性の高い病院として、それぞれの特徴を活かし、必要とされる良質な医療を提供しています。 
今後とも、救急医療等の政策医療を積極的に担うとともに、現在の医療水準の維持・向上を図り、より高いレベルの医療を提供するなど、市立病院に求められる役割を果たしていかなければなりません。 


⑵ そのためには、まず、医療費の抑制を基調とした医療制度改革や診療報酬改定、医療需要の変化、医療の高度化、さらには現在議論されている市内の基幹病院間の役割分担等の見直しといった病院を取り巻く環境変化に迅速、柔軟に対応できなければなりません。 

また、市立病院に求められる医療を、継続的、安定的に提供していくためには、病院が安定した経営の下で、維持されていかなければなりません。 
そして、何より、必要な医療スタッフが確保され、意欲的に働ける病院であることが必要です。 


⑶ 市立病院では、現在、これらのことに、「地方公営企業法全部適用」という枠組みの中で、取り組んでいますが、様々な制約から必ずしも的確に対応できているとはいえません(P15「Ⅱ病院経営上の課題について」に詳細記載)。 
こうしたことから、病院の経営改善方策についての検討を行うことにしました。 
2 検討内容 - 何を検討するのか 

た病院の枠組みに踏み込んでの検討が必要であるとともに、経営形態を見直した場合には、同時に「市立病院・施設間の連携」に関する検討も必要であると考えています。 
このため、この委員会では、現在の市立病院の現状を踏まえ、「今後の市立病院にとって、どのような経営形態が望ましいか」、併せて、経営形態の見直しを行うならば、新たな経営形態の下、「市立病院間でどのような連携が必要となるか」について、ご意見をいただくことにしたものです。 


3 検討時期 - なぜ今、検討するのか 
市立病院では、様々な制約のある現行の枠組みの中で、市民が必要とする質の高い安全で安心な医療を提供するため、日々最善の努力をしています。 

また、様々な制約を受けながらも、病院の運営に関して見直し、工夫を積み重ねることにより、ようやく収支の均衡が図られてきました。 
しかし、社会経済情勢が大きく変化し、今後とも医療を取り巻く環境の大きな変化が持続すると見込まれる中、これまでどおりの枠組みを前提にしたままでは、安定した経営の下でのより充実した医療サービスの提供を展望することは、極めて困難です。 

現在の制約を取り除き病院の自由度を増せるようにするという方向性の下に、できるだけ早期に検討に着手する必要があります。 
なお、このような積極的な指向は、収支の均衡が図られ経営が改善傾向にある今だからこそできるのであり、収支状況が悪い中では、対処療法的な指向になりかねません 



病院経営上の課題について 

1 必要な時に必要な数の必要な人材が確保できない 
病院事業は、典型的な労働集約型の、高い技術水準が求められる事業です。 
必要な時に、必要な人材をどれだけ確保できるかは、病院経営上、重要な要件ですが、こうしたことが、市の職員定数や採用方法の制約により、十分に対応しきれないことは、病院にとって非常に大きな問題です。 

病院での充実した医療サービスの提供に不可欠な職員数の確保については、市全体の増員枠の中でしか確保できない仕組みになっていることから、他の行政部局の削減がなければ、必要枠ですら確保できず、ほぼ限界にきています。 
また、職員の採用についても、医師や看護師などは、病院が独自に採用できますが、事務職員や薬剤師などは、他の行政部局に配置されることもあることから、市人事委員会の行う採用試験の合格者から採用するという状況にあります。 

【具体的な事例】 

○ 7対1看護の導入については、制度開始は平成18年からであったが、協議調整に時間を要し、安佐市民病院については、平成21年から、舟入病院については、平成22年からの導入になった。 
最近の例では、総合周産期母子医療センターの充実についても、看護師の採用方法についての調整に時間を要し、予定どおりの実施ができなかった。 

○ 職員定数の制約があるため、医師を正規職員として採用できず非常勤職員として採用している 

○ 職員定数の制約により、医療クラークなどの直接医療に従事しない職員の配置が優先順位として遅れ、不十分である。 

○ 病院も市の一組織であるので、行政職として採用された職員の異動ポストの一つであり、3~5年程度のサイクルで人事異動が行われる。病院経営を行うために必要な高度な専門性を有する職員の継続的な配置、養成が困難である。 

○ 地方公務員法により、競争試験に基づく採用が原則となっており、医師を除いたその他の職種では、勤務経験、実績に基づく選考採用が困難である。 


2 給与は実態として市に準ずるほかなく、柔軟な給与設定ができない給与については、職種によって他の行政部局への異動があること、病院を含めた市の給与全体について国の管理を受けていることなどから、人事委員会勧告に基づく市の給与に準じた給与制度になっています。 
そのため、医師、看護師等の確保のためにその困難さに応じて給与を決定したり、職員のやる気を醸成するために勤務実態に即した給与の支給を行うなどといった、柔軟な給与設定ができません。 


【具体的な事例】 

○ 民間病院で支給されている病院独自の手当の新設等が困難である。 


3 医師等は活動に制約があるため、自主的な研究活動ができない 
医師等の病院職員も地方公務員法の営利企業等の従事制限の適用を受けるため、民間企業と関係する活動には、多くの制約や条件が付き、ほとんど参加できないのが実態です。 
医師等は、自主的な研究活動を通じて、本人の専門分野の知識、技術の向上はもちろん、仕事に対する意欲も高まり、そのことが病院の医療水準の向上につながりますが、こうしたことが妨げられています。 

【具体的な事例】 

○ 民間企業(製薬会社等)からの依頼で、報酬や旅費の支給を伴う、講演会発表や寄稿に応じることができないなど、自主的な研究活動等が制限されている。 

○ 他医療機関からの依頼があっても、原則として専門性を要する手術や緊急手術に限って診療が認められているため、特に若手医師が診療経験を積むことが制限されている。 


4 状況の変化に機敏に対応した予算措置・予算執行ができない 
病院事業会計は、市の特別会計の1つであるため、予算編成は市のスケジュールで行われ、市の予算編成のルールに従う必要があり、状況の変化に機敏に対応した弾力的な予算措置、執行ができません。 
また、予算執行の際も、市の契約ルールに準拠し、単年度の契約、契約の分割化を原則としているため、長期、一括契約に制約があり、柔軟な経費削減策が導入しにくいという状況にあります。 

【具体的な事例】 

○ 医療機器が故障などにより使用できなくなった場合、早急に更新する必要があるが、補正予算では編成時期が決まっているため、予算の増額等について迅速な対応ができない。 
○ 設備や医療機器の定期点検業務等、長期継続契約ができない業務がある。 


5 経営責任や意思決定などに制約がある。病院の経営内容の評価が十分でない 
病院事業管理者には、地方公営企業法により病院経営にかかる広範な権限が与えられていますが、市長の補助職員であり、病院も市の組織の1つであることから、市長との間で経営責任の範囲があいまいになったり、市の方針決定の手続きに従うことになるため、意思決定に時間を要します。 
また、計画に関する評価の仕組みが制度化されていないため、経営内容の透明性が十分とはいえない状況にあります。