東吾野医療介護センター:指定管理者導入、赤字幅88.3%圧縮 地域密着の往診や健康相談 

2012.09.11

東吾野医療介護センター:指定管理者導入、赤字幅88.3%圧縮 地域密着の往診や健康相談 /埼玉 
2012.09.01毎日新聞  


 ◇旧飯能市立病院が複合施設に 

 飯能市の「東吾野医療介護センター」(旧飯能市立病院、同市虎秀)が指定管理者制度導入で当初見込みの赤字幅を88・3%圧縮する成果を上げたことが同市の昨年度指定管理料精算でわかった。 

公立病院には経営難、運営難というイメージがつきまとうが、運営方法を参考にしようと、同センターには鹿児島県など多くの自治体関係者が見学に訪れる。 

沢辺瀞壱市長は「指定管理者の経営努力と地域密着の運営方針が奏功した」と話している。【海老名富夫】 

 旧飯能市立病院が入念な準備作業を進め、医療法人「靖和会」を指定管理者に決めたのは10年4月。「新たな地域密着型の病院・介護老人保健施設の形態に転換し、地域に適した施設運営を目指せる人物」として埼玉医科大学神経内科の古屋大典客員准教授に白羽の矢を立てた。 

 センター長に就任した古屋氏は矢継ぎ早に施設の改修工事を実施。昨年4月から有床診療所(19床)として往診・訪問診療を開始したほか、医療機関併設の小規模介護老人保健施設(29床)や通所リハビリテーションの新たな機能を有した複合施設として職員46人(昨年4月現在)で新規オープンした。 

 同市医療管理課によると、同センターが本格運用を開始した昨年度の指定管理料(市が負担する赤字補填(ほてん)分)の見込み額は1億1980万円だったが決算してみると約2600万円で済んだという。 

 市立病院時代は年間約2億円の赤字を長年続け、累積赤字は50億円を超えるまでになっていただけに沢辺市長は「公営ではとてもまねができない経営手腕」とうなった。 

 指定管理者は協定で指定管理料精算時に残額の一部を利益として受け取れる。 
しかし古屋氏はその額4900万円を市に返上。市への返還金と合わせ計9300万円が残額となった。両者は備品購入費として1000万円を差し引いた8300万円を新たな基金として積み立てることで合意した。 

 山間地域の在宅医療を中心に地域のかかりつけ医を目指す古屋氏に市側も循環バスを用意するなど側面支援。センターは積極的に往診・訪問診療を実施したほか、通院が難しい市民には無料の外来送迎サービス(予約制)も取り入れた。 

 地元のお祭りで職員総出の健康相談会を行うなど地域密着の努力が実り、ベッドの満床状態が続くなど利用者が大きく伸びた。こうした運営効率の改善が赤字幅の圧縮につながった。 

 古屋氏は「地域ニーズを考えた診療体制の構築に努めただけです。今後も職員のケアの充実などに努力し地域の皆さんに喜んでもらえるセンターづくりを心がけたい」と話している。