「13年度医薬予算」アクセス制度の試行事業を実施へ――薬事戦略相談事業も大幅に拡充

2012.09.18

 

「13年度医薬予算」アクセス制度の試行事業を実施へ――薬事戦略相談事業も大幅に拡充 
2012.09.14 薬事ニュース   


 厚生労働省・医薬食品局は13年度における医薬関係の予算概算要求の概要を公表した。 

要望額は158億1900万円で今年度予算額と比べて66億2000万円増(72・0%増)となった。 

7月に閣議決定された「日本再生戦略」の実現に向けて、裁量的な経費削減を行った上で予算の上乗せ要求ができる「特別重点要求」では、「医療イノベーション5カ年戦略」に関連する施策を中心に計67億円を要求。 
医療上必要性の高い未承認・適応外薬に患者がアクセスしやすくする仕組み、いわゆる「アクセス制度」の導入に向けた試行事業の実施や、中小企業・ベンチャーへの製品化を支援する「薬事戦略相談」の拡充などを盛り込んだ。 


■がん治療薬の早期実用化に向けて評価ガイドライン 
 医薬関係予算の4割を占める「特別重点要求」の67億円のうち、医療イノベーション関連には65億円、「地域医療の強化に向けた緊急対策」の費用として2億円計上している。 

 医療イノベーション関連では主に、審査基準の明確化を進める施策に36億円を投入。 

具体的には「アクセス制度」の導入に向けて、6000万円の予算をかけてパイロット事業をスタートさせる。厚生科学審議会・医薬品等制度改正検討部会では、「アクセス制度」の導入を巡り、対象疾患・薬物の範囲や安全性を確保するための対象医療機関の設定、安全性情報の収集方法などが議論の焦点となっていた。 

 医薬品・医療機器・再生医療製品の実用化を推進するため、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査員と大学研究者らが一体となり、最先端技術の有効性・安全性を評価するためのガイドライン作成も進める。 

これまでも同様の事業で予算を計上しているが、13年度では早期の実用化が期待できるものに焦点を絞り込む。 
革新的ながん治療薬で5億300万円、医療機器に2億5000万円、再生医療製品に2億7900万円の予算をそれぞれ要望する。 


■中小・ベンチャー企業への支援策を充実 
 11年度からPMDAでスタートしている薬事戦略相談事業も拡充させる。 
行政改革推進法によって独立行政法人の総人件費には制約が課せられており、現在では嘱託職員のみで予算上対応しているが、13年度では正規職員としての相談員を採用したい考え。併せて、出張形式の相談事業も導入する方針で、特別枠ではない既存要求分も含めて2億4000万円の予算を求める。 
  
中小・ベンチャー企業に対する実用化の支援策として薬事戦略相談とは別に、医薬品・医療機器・再生医療製品に係る相談・承認申請手数料の軽減を図る。 

資金面などで苦戦を強いられる中小・ベンチャー企業への財政支援に関しては、民主党内の議論でもたびたび指摘を受けていた。 
ただ、医薬食品局・総務課の説明によると「中小企業だから軽減するのではなく、あくまでも革新性のある医薬品などについて、相談・開発しようとする企業の軽減を図ることになる」と説明している。予算要求額は2億5100万円。 
  
「日本再生戦略」にも掲げられているグローバル化への対応にも力を注ぐ方針だ。 
海外製造企業への品質確保のため、マスターファイル(原薬などの登録原簿)登録時の内容確認や国内管理人の研修、技術上の出張相談を実施する。 

また、国際共同治験・世界同時申請に対する海外の薬事規制当局との連携を推し進めるため、欧米のGCPなどの合同視察の状況調査も行う。予算要望額は4億1100万円。 
 安全対策の強化に向けては、1000万人規模の医療情報データベース(DB)をスタートさせるための予算を計上。 
加えてこうしたDBとは別に、がんや生活習慣病領域の薬剤において、長期的な副作用情報を収集するための新たなDBの構築を図り、10億3100万円の予算を要求する。 
  
地域医療の強化に向けた緊急対策としては、薬局を活用した薬物療法提供体制を拡充する。 
在宅医療において、抗がん剤や麻薬といったハイリスク薬の活用や、薬の飲み残しを減らすための服薬指導などについて、薬剤師がチーム医療の一員として参画する体制を整える。 
在宅医療に24時間対応できる薬局に関しても助成を行う方針。セルフメディケーションを進めるための広報・啓発費用なども確保する。予算要求額は2億円。 


■違法ドラッグ対策 包括指定の導入に向けて調整 
 「特別重点要求」以外の既存要求における項目立てとしては、承認審査の迅速化や安全対策の強化、違法ドラッグを含む薬物乱用対策、血液製剤対策、後発医薬品の品質確保の充実――など。 

このうち薬物乱用対策では、今年度予算額と比べて8億7000万円増となる4億1200万円の予算を要求。医薬食品局でも「局として特に力を入れて取り組むべき問題と位置付けている」と意気込む。 

 特に社会問題となっている違法ドラッグ対策では、新規物質の指定薬物や麻薬への指定について迅速化を図るほか、指定薬物と科学構造が類似していれば一括で規制対象にできる「包括指定」の導入に向けて調整を進める方針だ。 
 一方、後発品関連では、品質面における信頼性の更なる向上に向けて、医療関係者に情報を提供するデータベースを新たに整備。2億3900万円の予算を求める。