桜川市と運営の県西総合病院、筑西市が脱退意向 新中核病院の整備模索 /茨城県

2012.09.20

 

 

桜川市と運営の県西総合病院、筑西市が脱退意向 新中核病院の整備模索 /茨城県 
2012.09.08 朝日新聞 


 筑西市の吉沢範夫市長は7日、筑西市と桜川市が運営している県西総合病院の一部事務組合から脱退する意向を表明した。市議会での質問に答えた。 

 筑西市民病院と県西総合病院(桜川市)の両公立病院を統合して新中核病院をつくり、筑西市民病院は診療所に、県西総合病院は病床数を縮小する計画が進められていた。だが、新中核病院の建設候補地が筑西市内になったため、桜川市議会が反発して計画を断念、暗礁に乗り上げている。 

 吉沢市長はこの日、「今後は県西総合病院組合の脱退に向け検討していきたい」と述べた。 

 理由として、(1)桜川市が県西総合病院の存続に終始している(2)桜川市を含む保健医療圏で新中核病院をつくりながら、この圏域の一部である県西総合病院も同時に整備する合理性がない――などを挙げた。 

 筑西市は、桜川市と「縁切り」し、民間病院などとの再編も視野に、新中核病院の整備を模索していくことを宣言したことになる。 

 今後、桜川市が単独で県西総合病院を運営していくとすると、これまで筑西市が毎年拠出していた約1億円が入らなくなる。大震災で被災した病棟の復旧、医師の確保などにも影響がでてくるとみられる。 

 吉沢筑西市長の表明について、桜川市の臼井典章市長公室長は「聞いたばかりでどうこう言えない」と困惑する。 

 一部事務組合から脱退する場合は、両市議会の議決が必要。だが、今国会で地方自治法が改正され、2年前までに他の自治体に通告すれば脱退できるようになる。ただ実際に脱退するまでには曲折がありそうだ。 



地方自治法改正 

一部事務組合から地方公共団体が脱退しようとする場合には、2年前までに予告することにより、他の関係地方公共団体との協議を経ずに脱退可能に。 

個々の地方公共団体の意思のみでは脱退できない仕組みを改め、使いやすい仕組みとすることで、 
平成の合併後の広域連携を促進。 



http://www.soumu.go.jp/main_content/000133319.pdf 

 

改正地方自治法が成立。(2012/08/29-18:00) 


自治体の首長解職や議会解散の直接請求(リコール)に必要な署名数を大都市部で緩和する改正地方自治法が、29日の参院本会議で、民主、自民各党などの賛成多数で可決、成立した。 
  
リコールの見直しは、必要署名数を集めにくい大都市の現状に配慮し、有権者が80万人を超える自治体では、必要署名数を有権者の「6分の1以上」から「8分の1以上」に引き下げる。 
  
このほか、地方議会への通年会期導入や、地方議員の「政務調査費」を「政務活動費」に改め、調査研究以外にも充てられるようにする規定なども盛り込んだ。(2012/08/29-18:00) 


(改正前) 
病院事業を運営する一部事務組合の問題点 

(1)当事者の病院事業への視座 

一部事務組合は市町村の寄り合い所帯であり、それぞれの構成団体の意向が強く働き、広域的な視点に立った事業展開は「総論賛成、各論反対」になり勝ちである。 

一部事務組合の自治体病院にあっても、管理者自身は首長という立場もあり、ややもすると地域全体の利益よりも自らの出身団体の利益を優先させる傾向がある。 

これをチェックするのは組合議会しかないが、所詮は組合議会議員も出身自治体の動向に左右され、広域的観点からの意見調整ができない。 

組合管理者(首長)が広域の病院という意識を強く持ち、むしろ出身自治体の意向(特に市町村議会)を抑制していかなければ構成団体の一致協力は得られない。 

一部事務組合で病院事業単独の企業団では病院事業管理者を置かず、その権限は企業長が行うこととされており(地公企法§39の2)、 
企業長は構成団体の長が共同して任命することとなっているため、自治体と病院事業管理者は分離できることから、首長が管理者となる弊害を回避する一つの手段といえる。 

(2)市町村間の意見調整 

構成団体のベクトルが一致しないと既存事業であっても円滑な遂行は期待できない。共同処理すべき事務と位置付けられても、首長が選挙により交替すると場合によっては事務が停滞する。 

自治法では一部事務組合の経費分賦について異議申出を認め、申し出があったとき管理者は組合議会に諮って決定する規定があるのみで、市町村間で意見が異なる場合、当事者間の調整に任せ調停の仕組みがないことが問題を長期化させているのではないかと思われる。 

病院においても、仮に組合管理者と病院長が経営改善の施策が一致していても構成団体の理解が得られないと有効な手を打てない。 


(3)意思決定のスピード 

一部事務組合は、いくつかの自治体で構成され構成団体との意見調整によって事務が進められており、この多段階のシステムが意思決定を遅らせており、現に、看護師配置基準の改定により1.4:1が制度化された際、病院の職員定数規定などが支障となって自治体病院は出遅れたといわれている。 

医療制度が大きく変わろうとしている中、自治体病院が民間病院並みの意思決定のスピードを持つには、公営企業法の全適で病院事業管理者に人事権、予算編成権など経営に必要な権限を委ねるか、指定管理者又は地方独立行政法人(非公務員型)で運営することが適当。 

なお、公営企業法の全適では事実上、首長の関与を拒むことは難しい。、首長と病院事業管理者との信頼関係がなければ、意思決定も遅くなり経営改革もできない。全適への変更は 改革偽装が多い。 

(4)その他 

① 小規模の一部事務組合では、職員数も少なく日常業務に追われ研修等への参加機会が制約されスキルアップもできない。 

また、そこに構成団体とのローテーション人事が加わると組織としての知識・経験が蓄積されない。 

また、決裁権をもつ幹部職員がローテーション人事で派遣され出身自治体の意向が反映されてしまうという弊害も生じやすい。 

② 公営企業全般にいえることでもあるが、構成団体の財政サイドでは、複式簿記になじみが薄く、特に病院事業にあっては業務の複雑さも手伝ってチェック機能が十分働かない。 

③ 構成団体の財政力の差から、繰出金が認められている事業についても繰出金の負担能力の関係から財政力の低い団体に合わせるようになり、不採算事業が制約されることが考えられる。