指定管理者制度の周桑病院/賃金削減のために解雇/元職員20人、撤回めざす

2012.09.22

 

指定管理者制度の周桑病院/賃金削減のために解雇/元職員20人、撤回めざす/愛媛・西条 
2012.09.14 新聞赤旗 

 指定管理者制度の導入をテコに、職員の賃金を大幅削減するために解雇(分限免職)を強行する-。いま愛媛・西条市立周桑(しゅうそう)病院の元職員20人が解雇の撤回と賃金の回復を求めて裁判をたたかっています。 

 問題の発端は2009年9月。市が周桑病院に指定管理者制度(以下、制度)の導入を提案し、議会で承認されたことにさかのぼります。 
医師不足による病棟閉鎖などで「財政赤字」に陥ったことが理由です。 
医師不足の背景には、国の医師抑制政策と医師臨床研修制度があります。全国どこの病院でも研修を受けられるようになったため、研修医が大都市に集中し、地元に残らなくなったことが影響しました。 

 制度は、「官から民へ」のかけ声のもと、体育館や図書館など自治体の「公の施設」の管理と運営を民間に開放するために、小泉内閣が2003年9月に導入。「公の施設」が保障すべき公平性や専門性が失われ、指定取り消しが全国で相次いでいます。 

解雇は不必要 制度の導入により市は、病院職員のうち事務職を除く医師、看護師、理学療法士ら医療職151人を解雇すると決定。 
うち100人は周桑病院の指定管理者となる医療法人が雇用し、残りの職員には退職するか、市役所勤務を希望するかの選択を迫りました。 

 その後、市役所勤務になった職員にたいし、市は10年4月、分限免職を強行。そのうえで職員を新規採用し、年収で最大200万円、20~30%の賃金削減を強要したのです。 

病院職員は市役所勤務になっても、実質的には配置転換であり、解雇する必要はありませんでした。市役所に勤務し分限免職になった職員には退職金も支給されていません。 

 一方、制度が導入された周桑病院でも多くの問題を抱えています。市は指定管理者を公募する必要があったのに、これをせず医療法人・専心会を指定。 

専心会は制度導入前に周桑病院長が理事長となって設立した医療法人であり、指定方法でも多くの問題があります。 
さらに専心会は、制度導入後の職員採用で、年収200万円前後削減した賃金としたのです。 

 職員は、どちらを選んでも大幅な賃金削減を強要されました。職員には、大学生の子どもを抱える人や母子家庭の人もおり、生活への影響は深刻です。 

 総務省は10年12月に出した通達「指定管理者制度の運用について」で、「公共サービスの水準の確保という要請を果たす最も適切なサービスの提供者を、議会の議決を経て指定するものであり、単なる価格競争による入札とは異なる」「雇用・労働条件への適切な配慮がなされるよう、留意すること」としています。 
勝利判決ぜひ 10年9月から始まった松山地裁での裁判で、証人尋問に立った市の担当者は「法的には転任、配置転換が可能だった」「職員の生活のことは考えなかった」と証言。解雇の必要性がなかったことを認めました。 

 愛媛労連や自治労連愛媛県本部などでつくる元周桑病院職員分限免職撤回支援共闘会議の横井幸男議長は「全国の公立病院の多くが赤字を抱えているもとで、裁判の結果は各地の公立病院にも影響を与えます。全国の公立病院の医療を守り、それを支える労働者の労働条件を守るたたかいです」と指摘します。 

 原告団代表の佐伯信雄さんは語ります。「こんな理不尽なやり方は許せません。 
私たちのような思いをする人を二度と出してほしくない。解雇された人の気持ちを守る判決を勝ち取るためにがんばりたい」 裁判は10月16日に結審し、年明けにも判決が出される見込みです。