さいたま赤十字病院、小児科の新規患者を制限 常勤医退職へ 産科診療も影響

2012.06.09

さいたま赤十字病院、小児科の新規患者を制限 常勤医退職へ 産科診療も影響/埼玉県 
2012.06.06 朝日新聞  


 さいたま赤十字病院(さいたま市中央区)で、小児科の新規患者受け入れを一時中止したり、産科が大幅な分娩(ぶんべん)制限をしたりする事態になっている。常勤医の退職が見込まれるための措置だが、地域の医療拠点の診療縮小だけに、利用者への影響は大きそうだ。 


 病院によると、小児科の常勤医は4人。退職する医師の人数や時期は「調整中」だが、全員が退職する可能性もあるという。 

 このため、診療体制の見直しは「最悪の事態」を想定。小児科専門外来への新規紹介患者の受け入れを一時中止するほか、ハイリスク妊産婦の受け入れは困難だと伝え、大幅な分娩(ぶんべん)制限も設けた。特に産科は、小児科医が不在になると未熟児の入院管理などができないことを想定し、安全を優先させたという。 
5月下旬に公表し、病院のHPなどでも患者らに知らせている。 

 内田紹夫・病院総務課長は「できる限り受け入れていくが、時間や状況が許す方は別の病院を探していただいた方がいいとお知らせしている」と説明する。 

 さいたま赤十字病院は2015年度中にさいたま新都心(同区)に移転し、県立小児医療センター(同市岩槻区)と一体整備される計画が進んでいる。 
内田課長は「医師の退職は(計画とは)関係がないと思う。新病院での医療分担など話し合いはしていない。移転まで小児科の常勤医が不在という状況はありえない」と話している。 

 (今井由紀子) 


 ●「医師の振り向け、すぐには難しい」県医療整備課 

 県医療整備課によると、さいたま赤十字病院は昨年度、高度な医療が必要な妊婦や新生児を受け入れる「周産期母子医療センター」(県内10カ所)に指定されたばかりだった。 

 しかし、病院側は今春、「現状では新しい小児科医を確保できていない」として、診療縮小の方針を伝えてきたという。 

 センターに指定されると、診療報酬の増額や運営費への補助が認められるが、同課は「想定する高度医療ができなくなった場合は診療費は発生せず、補助もしないので、経済的な実害はない」と説明する。 

 今回の背景には、深刻な小児科や産科の医師不足がある。 
常勤医が辞めた場合、新たな人材確保は大きな悩みだ。「公立病院の小児科医をすぐに振り向けるのは難しい」という。 

 一方、2病院を移転後、周産期医療の機能を向上させ、現在は埼玉医科大学総合医療センター(川越市)にしかない「総合周産期母子医療センター」に指定する計画もある。 

 移転計画を担当する県病院局経営管理課は「さいたま赤十字病院は『早期に小児科医を確保する』としている。移転への直接の影響はないと考えている」と話す。 

 (藤谷浩二) 





さいたま赤十字病院で常勤小児科医が全員退職の危機 新都心移転が影響か 
2012.6.8 産経 

小児科の常勤医全員が退職の意向を示しているさいたま赤十字病院。さいたま新都心への移転の影響が指摘されている=8日、さいたま市中央区 
  
さいたま赤十字病院(さいたま市中央区)で、小児科の常勤医師4人全員が退職の意向を示していることが8日、同病院への取材で分かった。 
同病院はすでに小児科専門外来への新規紹介患者の受け入れを中止、ハイリスク妊婦の受け入れも制限した。同病院は平成27年度に県立小児医療センター(同市岩槻区)とともにさいたま新都心に移転することが決定。高度医療は同センターが引き受けるため、医療関係者からは「軽度の患者しか診察できなくなると思った医師がやる気をなくしたのではないか」との指摘もある。 

 同病院によると、小児科の常勤医は部長、副部長を含め4人。全員が秋ごろまでの退職を希望している。理由について同病院は「具体的には明かせないが、医局に戻る医師もいるようだ」としている。 

 このため同病院では、今月から心疾患や糖尿病、脳性まひなどの小児科専門外来については、新規紹介患者の受け入れを一時中止。 
未熟児などに対応するため小児科医が立ち会うハイリスク妊産婦については「受け入れは困難」として予約に制限を設けた。期限は「未定」としている。 

 この問題について、同病院の担当者も県の担当課も、新都心への移転問題は「関係ない」としている。ただ、医師でもある日下部伸三・埼玉県議(無所属)は、「県立小児医療センターと一体的に整備されて別棟で隣接するのでは、さいたま赤十字病院の小児科の存在意義が乏しくなるのではないか」と指摘する。 
移転後、重篤な患者の対応は小児医療センター、さいたま赤十字病院はそれ以外と分担が決まっているからだ。




さいたま赤十字病院で常勤小児科医が全員退職の危機 新都心移転が影響か 

小児科の常勤医全員が退職の意向を示しているさいたま赤十字病院。さいたま新都心への移転の影響が指摘されている=8日 

 別の医療関係者は「日赤など公的な病院は民間と比べて医師の収入が低い。 
しかし、高度な設備でさまざまな患者の診察ができ、経験を積めるメリットがある。 
それなのに、風邪や腹痛の子供しか診られなくなるのでは、医師のモチベーションにかかわる」と明かした。 

 移転問題に関しては、今年の県議会2月議会で移転先の土地購入費約123億円が可決されたが、依然、一部で慎重論もくすぶっている。 
さいたま市でも6月議会に補正予算案として土地購入費を提案中。 
市議会では可決の公算だが、ある市議は「県議からわざわざ『慎重に審議せよ』といわれた市議がいたようだ。問題をこじらせて移転を遅らせたいのでは」と裏事情を“解説”した。