川崎社会保険病院の一般譲渡先が決定

2012.05.21

川崎社会保険病院の一般譲渡先が決定 
2012.5.18 産経ニュース  

独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO)は18日、民間譲渡が決まっていた川崎社会保険病院(川崎市川崎区)の一般競争入札を行い、医療法人社団「葵会」(東京都千代田区)が60億円で落札した。6月1日までに譲渡に関わる締結を行い、来年4月までに病院の引き渡しが行われる。 

 同病院は昭和23年に創立。病床数は308床で、周辺には高齢者が多く、療養病棟や緩和ケア病棟などを備えている。平成18年ごろから経営悪化が問題となり、22年度の病床利用率は約41%で、累積赤字は約48億円に上る。 

 厚生労働省は昨年12月、同病院を民間譲渡対象に選定。 
同機構は譲渡条件に病床数308床の確保 
▽譲渡後1年以内の救急指定病院としての認定 
▽訪問診療、訪問看護事業の継続-などを提示した。入札資格を得た3法人で一般競争入札が行われた。 

 同病院では民間譲渡の決定以降、医師や看護師の退職が続いており、2月からは新規入院患者の受け入れを中止していた。譲渡先が決まったことを受け、川崎市の阿部孝夫市長は「医療と介護の連携拠点として、市民の期待に応えてほしい」とコメントした。 


川崎社会保険病院:売却へ 医師ら4割退職、あす一般競争入札 地域医療の要、住民・患者に動揺 
2012.05.17毎日新聞)  


 旧社会保険庁改革の一環で民間売却が決まった川崎社会保険病院(川崎市川崎区、308床)で、先行き不安から医師や看護師の退職が相次ぎ、18日の一般競争入札を前にその数が約4割に達している。 

稼働中の公的医療機関が一般競争入札で民間譲渡されるのは今回が初めて。 
地域の中核病院としての機能維持が困難になっている上、売却後の在り方も不透明で、地域住民や患者に動揺が広がっている。【倉岡一樹、高橋直純】 

 同病院は1948年開設。京浜工業地帯の労働者が多く住む臨海部にあり、訴訟になった大気汚染公害によるぜんそく患者の治療で知られた。 
地域住民の高齢化に伴い、現在はリハビリや訪問診療、看護など高齢者医療に軸足を置く。 

 ここを含め公的保険料で整備された全国63の社会保険病院と厚生年金病院は「保険料の無駄遣い」として、小泉純一郎政権下で民間売却や廃止の方針が決定。 
一方、民主党政権は地域医療への影響を考慮して公営維持に傾き、現在も61病院が存続するが、厚生労働省は昨年12月、川崎社会保険病院の売却を決めた。 

 ●累積赤字48億円 

 売却決定の背景には10年度の病床利用率が41%にとどまり、累積赤字が48億円に達していることや、都市部にあり民間の買い手が見つけやすいとの判断もあったとみられる。 

 それ以降、病院の将来に不安を感じ、25人いた常勤医師のうち10人が退職。 
看護師も約130人中約50人が去った。このため三つあった一般病棟を一つに集約し、2月からは新規入院の受け入れを中止、救急搬送も断ることが多くなった。患者への転院相談窓口も設置し、外来患者は売却方針決定前の約6割に落ち込んでいる。 

 内科に通う70代男性は転院を勧められ「足腰が悪いので遠くに通うのは難しい」と困惑する。「いつまで面倒を見られるか分からない」と医師に告げられた患者もいるという。 

 ●リストラ懸念も 

 譲渡に際しては病床数や訪問診療の維持などの条件が付されているが、経営改善のためには、更なるリストラで医療サービスが低下する懸念もある。 

 病院がある大師地区町内会連合会は3月、厚労省に医療機能確保を求める要望書を提出。相沢弘保副会長(79)は「70~80代が多いこの地区には不可欠の病院だ」と強調する。 


 ■ことば 

 ◇社会保険・厚生年金病院の売却問題 

 社会保険料や年金保険料で整備された全国63病院について、自公政権は自治体や民間への売却か廃止を進める方針を打ち出し、05年設立の独立行政法人「年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO)」に保有させた。 
2病院は公立病院に統合されるなどし、川崎社会保険病院の売却と健康保険鳴門病院(徳島県)の譲渡は決まったが、残りは停滞。民主党政権下の昨年6月、病院を存続させて安定運営を担うため、RFOを独立行政法人「地域医療機能推進機構」に改組することが決まった。14年春に発足予定。